高校数学[総目次]
数学Ⅱ 第4章 三角関数
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1. 一般角と弧度法 | [無料] | |
2. 一般角の三角関数 | [無料] | |
3. 三角関数の性質 | [無料] | |
4. 三角関数のグラフ | [会員] | |
5. 三角関数の加法定理 | [会員] | |
6. 三角関数の種々の公式 | [会員] | |
7. 三角関数の合成 | [会員] | |
8. 三角関数の応用 | [会員] |
4.1 $\sin\theta$ のグラフ
$\sin\theta$ のグラフとは
$y=\sin\theta$ のグラフとはどのようなものであろうか.$y=x+1$ であれば, $x$ の各値に対して $y$ がただ一つ定まり,その $(x,y)$ の組を座標平面にかいていけばよいのであり,特段難しいところはないであろう.これと同じことを $y=\sin\theta$ でも考えて,各 $\theta$ の値に対してただ一つ定まる $y$ の値を組にして, $(\theta, y)$ を座標平面にかいていけばよいのだ. $\theta$ が文字としてとっつきにくいなら横軸を $x$ に代えて $y=\sin x$ のグラフを考えてもよい.
注意しておかなければならないのは,角度を表す $\theta$ は弧度法を用いるということだ.度数法と弧度法の換算は
180° = $\pi$ ラジアン
である.別の書き方をすれば
180° = 3.1415 … ラジアン
となる.従って,
$\theta$ | 0 | $\dfrac\pi6$ | $\dfrac\pi4$ | $\dfrac\pi3$ | $\dfrac\pi2$ |
$\sin\theta$ | 0 | $\dfrac12$ | $\dfrac{\sqrt2}2$ | $\dfrac{\sqrt3}2$ | 1 |
というのは
$\theta$ | 0 | $0.52\cdots$ | $0.78\cdots$ | $1.04\cdots$ | $1.57\cdots$ |
$\sin\theta$ | 0 | $\dfrac12$ | $\dfrac{\sqrt2}2$ | $\dfrac{\sqrt3}2$ | 1 |
と表すこともできる.
$\sin\theta$ のグラフは曲線となるから,グラフを描くときはできるだけ多くの $\theta$ とその値に対する $\sin\theta$ の値をとってプロットした方が正確な図が描ける.しかしながら上の表にあるようないくつかの $\theta$ の値以外の $\sin\theta$ の値を計算することは簡単ではない.この辺りの事情は,同じようにグラフが曲線となる $y=x^2$ などのグラフをかく場合と著しく異なる.
$\sin\theta$ のグラフをコンピュータで描いてみる
下のアニメーションは,
$\sin\theta$ は単位円周上の点の $y$ 座標である
という事実を用いてグラフを描く方法である.
$y=\sin\theta$ のグラフのかき方は,スライド(会員向け)でもパラパラ漫画的にわかりやすく解説しています.
実際に人が手でグラフをかく場合には,アニメーションのような手法で厳密にグラフを描くことは困難なので,私たちがよく知っているいくつかの $\theta$ に対する $\sin\theta$ の値を取り,あとは滑らかに連結することで済ませることが多い.
単位円では中心「角」と弧の「長さ」が等しい
弧度法では,単位円(半径1の円)における中心角とそれに対応する弧の長さが等しい.つまり中心角が $\theta$ なら弧の長さも $\theta$ である(※注).下の図は,弧の長さをそのまま $x$ 軸上にもってくれば $\theta$ の値が取れることを示したものである.
※注 これは弧度法の定義 である.例えば中心角 $\dfrac\pi4$ の弧の長さは $\dfrac\pi4$,中心角 $\dfrac\pi2$ の弧の長さは $\dfrac\pi2$ 等々.
$y=\sin\theta$ のグラフは原点に関して対称
$y=\sin\theta$ のグラフは原点に関して対称となっている.これは奇関数に見られる特徴である.また,$\sin\theta$ の周期は $2\pi$ であるから $2\pi$ ごとにグラフが繰り返される.
4.2 $\cos\theta$ のグラフ
$\cos\theta$ のグラフとは
$y=\cos\theta$ のグラフのかき方は,スライド(会員向け)でパラパラ漫画的にわかりやすく解説しています.
$y=\cos\theta=\sin\left(\theta+\dfrac\pi2\right)$ を利用
4.3 $\tan\theta$ のグラフ
$\tan\theta$ のグラフとは
$y=\tan\theta$ のグラフのかき方は,スライド(会員向け)でパラパラ漫画的にわかりやすく解説しています.
$n$ を整数として,直線 $y=\dfrac\pi2+n\pi$ が漸近線.
4.4 様々なグラフ
三角関数のグラフの拡大・縮小,平行移動
$y=\sin\theta$ のグラフからスタートして,
- $y=2\sin\theta$
- $y=\sin2\theta$
- $y=\sin\left(\theta-\dfrac\pi4\right)+1$
という変換によってグラフがどのように変化するのかを順に確認する.
① $y$ 軸方向の拡大・縮小
$y=\sin\theta$ → $y=2\sin\theta$
($\boldsymbol{y}$ 軸方向に2倍拡大)
② $\theta$ 軸方向の拡大・縮小
$y=\sin\theta$ → $y=\sin2\theta$
($\theta$ 軸方向に $\boldsymbol{\dfrac12}$ 倍縮小)
※この変換によって周期が変化する.
③ 平行移動
$y=\sin\theta$ → $y=\sin\left(\theta-\dfrac\pi4\right)+1$
($\boldsymbol{\theta}$ 軸方向に $\boldsymbol{\dfrac\pi4}$,$\boldsymbol{y}$ 軸方向に$1$だけ平行移動)
例題 $y=\sin\left(2\theta-\dfrac\pi3\right)$ のグラフをかけ.
考え方
$y=\sin\theta$ のグラフから始めて,どのような変換をたどって $y=\sin\left(2\theta-\dfrac\pi3\right)$ になったか考える.
考え方その1
拡大・縮小→平行移動の順で捉える
$y=\sin2\left(\theta-\dfrac\pi6\right)$ と変形して,
$y$ 軸を中心に,$\theta$ 軸方向に $\dfrac12$ 倍の縮小($y=\sin2\theta$)
→ $\theta$ 軸方向に $\dfrac\pi6$ だけ平行移動($y=\sin2\left(\theta-\dfrac\pi6\right)$)
と考える.
考え方その2
平行移動→拡大・縮小の順で捉える
$\theta$ 軸方向に $\dfrac\pi3$ だけ平行移動($y=\sin\left(\theta-\dfrac\pi3\right)$)
→ $y$ 軸を中心に,$\theta$ 軸方向に $\dfrac12$ 倍の縮小($y=\sin\left(2\theta-\dfrac\pi3\right)$)
と考える.
補足
グラフは「拡大・縮小→平行移動」の順で捉えるのがよい
ポイント
グラフは
拡大・縮小 → 平行移動
の順で変換されたとするのが考えやすい.
上の例題の場合も,考え方その1が考えやすい.グラフをかく際は,次に示すように考え方その1で捉えた平行移動量の情報から書き込んでいく:
グラフのかき方のコツ
拡大・縮小したあとのグラフに対して次の順で作業を行う.
ステップ1 平行移動量をとり,周期ごとに点を打つ.
ステップ2 次々と間の点を取っていく.
ステップ3 各点を滑らかに連結する.
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