このページにある内容は,こちらのスライド(会員向け)でわかり易く説明しています.
※PC環境なら全画面表示でより見やすく,よりわかりやすい!
高校数学[総目次]
数学Ⅱ 第2章 複素数と方程式
スライド | ノート | |
1. 複素数 | [無料] | |
2. 2次方程式の解と判別式 | [無料] | |
3. 解と係数の関係 | [会員] | |
4. 剰余の定理・因数定理 | [会員] | |
5. 高次方程式 | [会員] |
4.剰余の定理・因数定理
4.1 剰余の定理
例えば整式 $x^3-4x^2+3$ を $x-2$ で割ると,商が $x^2-2x-4$,余りが $-5$ となるので
\[x^3-4x^2+3=(x-2)(x^2-2x-4)-5\]
と表せる.いま,この式の両辺の $x$ を2とおくと,
\[2^3-4\cdot2^2+3=(2-2)(2^2-2\cdot2-4)-5\]
となり,右辺はもちろん $-5$ であるが,これと等しい左辺も $-5$ である.そして $-5$ というのは先ほどの割り算の余りである.これは偶然ではない.つまり $x^3-4x^2+3$ を $x-2$ で割った余りは, $x^3-4x^2+3$ の $x$ に2を代入した値に等しい.
一般に,整式 $P(x)$ を1次式 $x-\alpha$ で割った商を $Q(x)$,余りを $R$ (定数!)とすると,
\[P(x)=(x-\alpha)Q(x)+R\]
と表せて,この両辺の $x$ を $\alpha$ とおくと,
\[P(\alpha)=(\alpha-\alpha)Q(\alpha)+R\]
すなわち
\[P(\alpha)=R\]
となる:
剰余の定理 整式 $P(x)$ を1次式 $x-\alpha$ で割った余りは,$P(\alpha)$
補足
整式 $P(x)$ を1次式 $ax+b$ で割った余りは,$P\left(-\dfrac ba\right)$
証明
整式 $P(x)$ を1次式 $ax+b$ で割った商を $Q(x)$,余りを $R$ (定数) とすると, \[P(x)=(ax+b)Q(x)+R\] この両辺の $x$ を $-\dfrac ba$ とおくと, \[P\left(-\frac ba\right)=\left\{\underline{a\cdot\left(-\frac ba\right)+b}\right\}Q\left(-\frac ba\right)+R\] { }内の下線部が0となるから, \[P\left(-\frac ba\right)=R\]
■
例題 3次式 $P(x)=x^3\!-\!2x^2\!-\!5x\!+\!7$ を,次の1次式で割った余りを求めよ.
(1) $x\!-\!3$
(2) $2x\!-\!3$
答
解答例を表示する >例題 整式 $P(x)$ を $x-1$ で割ると余りが4,$x+2$ で割ると余りは $-14$ である.$P(x)$ を $(x-1)(x+2)$ で割ったときの余りは?
ポイント
(割る式の次数)>(余りの次数)
答
解答例を表示する >4.2 因数定理
整式 $P(x)$ を $x-\alpha$ で割ったときの商を $Q(x)$,余りを $R$ (定数) とおくと, \[P(x)=(x-\alpha)Q(x)+R\] いま,$R=0\ (\iff P(\alpha)=0\ )$ ならば, \[P(x)=(x-\alpha)Q(x)\] であるから,$x-\alpha$ は $P(x)$ の因数である.これを因数定理という:
因数定理\[x-\alpha\mbox{ が整式 }P(x)\mbox{ の因数}\iff P(\alpha)=0\]
例題 $x^3+3x^2-4x-12$ を因数分解せよ.
答
解答例を表示する >発展的補足
(次の内容は $n$ 次の整式についても成り立つ.)
定理
$a,b,c$ を整数とする.整数を係数とし,最高次である3次の係数が1の整式 $P(x)=x^3+ax^2+bx+c$ について,$P(\alpha)=0$ となる有理数 $\alpha$ がもし存在するならば,
$\alpha$ は整数であり,しかも $c$ の(正負の)約数
である.
証明
$A$ を正の整数,$B$ を整数とする.
有理数 $\alpha=\dfrac BA$ (既約) が,$P(\alpha)=0$ を満たすならば,
\[\alpha^3+a\alpha^2+b\alpha+c=0\ \ \cdots\mbox{①}\]
であるから,
\[\left(\dfrac BA\right)^3+a\left(\dfrac BA\right)^2+b\left(\dfrac BA\right)+c=0\]
\[\therefore \dfrac{B^3}A=-(aB^2+bAB+cA^2)\]
左辺の $\dfrac{B^3}A$ は既約分数,左辺の $-(aB^2+bAB+cA^2)$ は整数であるから,$A=1$ でなければならない.
故に,$\alpha=\dfrac B1=B$ となり,まずは $\boldsymbol{\alpha}$ が整数であることが示された.
次に,
① $\iff \alpha(\alpha^2+a\alpha+b)=-c$
と変形すると,左辺の $\alpha$ 及び $\alpha^2+a\alpha+b$ が整数であるから, $\boldsymbol{\alpha}$ は $\boldsymbol{c}$ の(正負の)約数.
■
注意
上の定理は,そもそも方程式 $P(x)=0$ が有理数解をもっていないならば,何も主張していない.
このページで疑問は解決されましたか?
こちら から数学に関するご質問・ご要望をお寄せください。
高校数学[総目次]
数学Ⅱ 第2章 複素数と方程式
スライド | ノート | |
1. 複素数 | [無料] | |
2. 2次方程式の解と判別式 | [無料] | |
3. 解と係数の関係 | [会員] | |
4. 剰余の定理・因数定理 | [会員] | |
5. 高次方程式 | [会員] |