例えば四面体の体積を求める際など,空間内の1点から平面に下ろした垂線の長さが必要なことがしばしば起こります.ここでは,垂線の長さの求め方を,空間内の座標が与えられている場合と,そうでない場合について,主にベクトルを用いた考え方についてまとめています.
高校数学[総目次]
高校数学ワンポイント
スライド | ノート | |
1. ファクシミリの原理 | [会員] | |
2. バウムクーヘン分割 | [会員] | |
3. 円と放物線 | ||
4. 垂線の長さ | ||
5. 不定方程式 | ||
6. 関数の連続性は導関数に遺伝するか | ||
7. 極方程式における rr の正負について | ||
8. 極座標表示における扇形分割積分 | ||
9. 素因数分解の一意性 | ||
10. 三角関数の不定積分 | ||
11. コーシー・シュワルツの不等式 | ||
12. 放物線と2接線で囲まれた部分の面積 | ||
13. 整式の除法(発展編) | ||
14. 3次関数のグラフの特徴 | ||
15. 曲線の長さを求める公式の証明について | ||
16. もう迷わない!必要条件・十分条件のくすっと笑える判定方法 | ||
17. 同じものを含む円順列の考え方 | ||
18. f(f(x))=xf(f(x))=x の形をした関数方程式の取り扱い方 | ||
19. パラメータが2次で表された直線の通過領域 | ||
20. 四面体の面上及び内部を表すベクトル |

1.成分が与えられているとき

この問題に対する以下の5つの解法を順に説明します:
- 1∘1∘ →(DH=r→(DA+s→(DB+t→(DC−−→(DH=r−−→(DA+s−−→(DB+t−−→(DC, r+s+t=1r+s+t=1 とおく.
- 2∘2∘ →(DH=→(DA+s→(AB+t→(AC−−→(DH=−−→(DA+s−−→(AB+t−−→(ACとおく.
- 3∘3∘ 正射影ベクトルの利用.
- 4∘4∘ 点 DD を通る直線の方程式を利用.
- 5∘5∘ 点と平面の距離の公式を利用.
お手軽さの順は,軽い方から概ね 3∘, 5∘>4∘≫1∘, 2∘3∘, 5∘>4∘≫1∘, 2∘ です.
1∘1∘ →(DH=r→(DA+s→(DB+t→(DC−−→(DH=r−−→(DA+s−−→(DB+t−−→(DC , r+s+t=1r+s+t=1とおく
→(DH=r→(DA+s→(DB+t→(DC, r+s+t=1⋯① とおきます.
→(DA=(0,−2,−3),→(DB=(−1,0,−3),→(DC=(−1,−2,0) ですから,
→(DH=r(0, −2, −3)+s(−1, 0, −3)+t(−1, −2, 0)=(−s−t,−2r−2t,−3r−3s)
です.→(DH⊥→(AB かつ →(DH⊥→(AC
により,
(−s−t,−2r−2t,−3r−3s)⋅(−1, 2, 0)=0⋯②(−s−t,−2r−2t,−3r−3s)⋅(−1, 0, 3)=0⋯③
①~③ より r=−2349, s=3149, t=4149.
従って →(DH=−1249(6, 3, 2) となりますから,
DH=|−1249|√62+32+22=127

2∘ →(DH=→(DA+s→(AB+t→(AC とおく
→(DH=→(DA+s→(AB+t→(AC とおきます.
→(DA=(0,−2,−3), →(AB=(−1,2,0), →(AC=(−1,0,3) ですから,
→(DH=(0, −2, −3)+s(−1, 2, 0)+t(−1, 0, 3)=(−s−t, −2+2s, −3+3t)
です. →(DH⊥→(AB かつ →(DH⊥→(AC により,
(−s−t, −2+2s, −3+3t)⋅(−1, 2, 0)=0⋯①(−s−t, −2+2s, −3+3t)⋅(−1, 0, 3)=0⋯②
①,②より s=3149, t=4149.
従って →(DH=−1249(6, 3, 2) となりますから,
DH=|−1249|√62+32+22=127
補足
上の解答のようにして s と t を求めておいたのち,→DH の大きさを求める際には次のようにしてもよいでしょう:
|→DH|2=→DH⋅→DH=→DH⋅(→DA+3149→AB+4149→AC)=→DH⋅→DA (∵→DH⊥→AB, →DH⊥→AC)=−1249(6, 3, 2)⋅(0, −2, −3)=12249∴|→DH|=127
この →DH の一方だけを残して計算するという方法は,ベクトルの成分が与えられていない場合に極めて有効です.

3∘ 正射影ベクトルの利用

→(AB と →(AC の双方に垂直なベクトルの 1 つとして
→(n=(6, 3, 2) がとれます.実際,
→AB⋅→(n=(−1, 2, 0)⋅(6, 3, 2)=−6+6+0=0→AC⋅→(n=(−1, 0, 3)⋅(6, 3, 2)=−6+0+6=0
です.→(DH は(例えば) →(DA の →(n への正射影ベクトルですから,
|→(DH|=|→(DA⋅→(n|→(n|2→(n|=|→(DA⋅→(n||→(n|=|(0,−2,−3)⋅(6,3,2)|√62+32+22=127
補足
正射影ベクトルの詳しい考え方については,数学B 第1章 ベクトル 4.ベクトルの内積(会員向け),及び【ノート】をご覧ください.

4∘ 点Dを通る直線の方程式を利用
→(AB と →(AC の双方に垂直なベクトルの 1 つとして
→(n=(6, 3, 2) がとれます(→3∘ 参照).点 D を通り,方向ベクトルが →(n である直線の方程式は
(x, y, z)=→(OD+t→(n=(1, 2, 3)+t(6, 3, 2)=(1+6t, 2+3t, 3+2t) ⋯①
また,平面 ABC の方程式は
6(x−1)+3(y−0)+2(z−0)=0∴ 6x+3y+2z−6=0 ⋯②
H は直線と平面の交点ですから,①を②に代入して,
6(1+6t)+3(2+3t)+2(3+2t)−6=0∴t=−1249
従って, →(OH=(1, 2, 3)−1249(6, 3, 2) となります.よって,
|→(DH|=|→(OH−→(OD|=|{(1, 2, 3)−1249(6, 3, 2)}−(1, 2, 3)|=|−1249(6,3,2)|=127

5∘ 点と平面の距離の公式を利用
点 D(1, 2, 3) と平面 ABC: 6x+3y+2z−6=0(→4∘の②式参照)の距離は,公式により DH=|6⋅1+3⋅2+3⋅2−6|√62+32+22=127

2.成分が与えられていないとき

答
まず →CH を,上の方針2に従って計算します.
→OA=→(a, →OB=→(b, →OC=→(c とおきます.
→(a⋅→(b=√32→(b⋅→(c=√22→(c⋅→(a=12
ですから,→OH=s→(a+t→(b とおくと,
→CH⊥→(a⟺(s→(a+t→(b−→(c)⋅→(a=0→CH⊥→(b⟺(s→(a+t→(b−→(c)⋅→(b=0 ∴{s+√32t−12=0√32s+t−√22=0
これを解いて,s=2−√6, t=2√2−√3 を得ます.よって,
→CH=(2−√6)→(a+(2√2−√3)→(b−→(c
です.
ここで →CH の大きさを,
|→CH|2=|(2−√6)→(a+(2√2−√3)→(b−→(c|2
としては計算が大変です.この煩雑さを回避するのが上の方針2の補足で示した方法です.→CH⊥→(a, →CH⊥→(b に注意すると,
|→CH|2=→CH⋅→CH=→CH⋅{(2−√6)→(a+(2√2−√3)→(b−→(c}=−→CH⋅→(c (←ここがポイント!)=−{(2−√6)→(a+(2√2−√3)→(b−→(c}⋅→(c=−{(2−√6)⋅12+(2√2−√3)⋅√22−1}=√6−2
|→CH|≧0 ですから,
|→CH|=√√6−2
となります.

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