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高校数学[総目次]

数学Ⅲ 第1章 極限

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1. 数列の極限 [無料]  
2. 無限等比数列 [無料]  
3. 無限級数 [会員]  
4. 無限等比級数 [会員]  
5. 関数の極限 [会員]  
6. (sin x)/x の極限 [会員]  
7. 関数の連続性 [会員]  

3.無限級数

3.0 無限級数とは

 数列$\{a_n\}$において, \[a_1+a_2+a_3+\cdots+a_n+a_{n+1}+\cdots \] を無限級数といい,$\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n$で表す.

疑問

 $a_n=(-1)^{n-1}$ のとき, \[1-1+1-1+1-\cdots \] を考えると,
・$(1-1)+(1-1)+\cdots =0+0+\cdots =0$
・$1+(-1+1)+(-1+1)+\cdots =1+0+0\cdots =1$
など,足す順序によって極限が変わってくる.
 それでは $\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n$ は一体何を意味するのであろうか.

3.1 無限級数の収束・発散

 数列$\{a_n\}$ の初めの $n$ 項の和 $a_1+a_2+\cdots +a_n$ を,第 $n$ 項までの部分和という.
 いま,部分和を $S_n$ とおいて,数列 $\{S_n\}$ を考える: \[ \{S_n\}=\{S_1,\ S_2,\ S_3,\ \cdots\} \]  このとき \[ \lim_{n\to\infty}S_n\] が極限値 $S$ をもつとき,無限級数 $\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n$ は収束するといい,$S$ をこの無限級数のという.
 $\{S_n\}$ が発散するとき,無限級数 $\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n$ は発散するという.

\[\frac 1{1\cdot2}+\frac 1{2\cdot3}+\frac 1{3\cdot4}+\cdots+\frac 1{n(n+1)}+\cdots \]
 第 $n$ 項までの部分和を $S_n$ とすると, \[\begin{align*} S_n&=\left(\frac 11-\frac 12\right)+\left(\frac 12-\frac 13\right)+\cdots+\left(\frac 1n -\frac 1{n+1}\right)\\ &=1-\frac 1{n+1} \end{align*}\]  よって,$\displaystyle\lim_{n\to\infty}S_n=1$.
 故に,この無限級数は収束し,和は1

3.2 無限級数の性質


 数列$\{a_n\},\ \{b_n\}$ について,$\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n,\ \displaystyle\sum_{n=1}^\infty b_n$ が収束し,$\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n\!=\!S,$ $\displaystyle\sum_{n=1}^\infty b_n\!=\!T$ のとき,
① $\displaystyle\sum_{n=1}^\infty k\,a_n=k\,S$ ($k$ は定数)
② $\displaystyle\sum_{n=1}^\infty (a_n+b_n)\!=\!S\!+\!T,\ \displaystyle\sum_{n=1}^\infty (a_n-b_n)\!=\!S\!-\!T$
③ $\displaystyle\sum_{n=1}^\infty (k\,a_n\!+\!l\,b_n)\!=\!k\,S\!+\!l\,T$ (ただし,$k,\ l$ は定数)

3.3 無限級数が収束するための必要条件

 無限級数 $\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n$ の第 $n$ 項までの部分和を $S_n$ とする. \[\begin{array}{rlc}  S_n&=a_1+a_2+\cdots+a_{n-1}+a_n&\\ -)\ \ S_{n-1}&=a_1+a_2+\cdots+a_{n-1}&(n\geqq 2)\\ \hline S_n-S_{n-1}&=\hspace{42mm}a_n \end{array} \] \[\therefore\ a_n=S_n-S_{n-1}\ \ (n\geqq 2)\ \cdots \mbox{①} \]

 いま,無限級数 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}S_n$ が収束して,$S_n\to S\ (n\to\infty)$ とすれば,①の両辺の極限を考えて, \[\lim_{n\to\infty}a_n=\lim_{n\to\infty}(S_n-S_{n-1})=S-S=0\]

まとめ  無限級数 $\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n$ が収束する $\Longrightarrow\ \displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=0$

注意

 逆,即ち\[\lim_{n\to\infty}a_n=0\ \Longrightarrow\ \sum_{n=1}^\infty a_n\ \mbox{は収束} \]はいえない.

反例

 $a_n=\dfrac 1n$のとき,$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=0$.しかるに,$\displaystyle\sum_{n=1}^\infty a_n=\infty$.

 この命題の対偶も真なので,次が成立:

\[ \lim_{n\to\infty}a_n\neq 0\ \Longrightarrow\ \sum_{n=1}^\infty a_n\ \mbox{は発散する}\]

例1 $1-3+5-7+\cdots$

 $a_n=(-1)^{n-1}(2n-1)$ で,数列$\{a_n\}$ は0に収束しない.従って無限級数も収束しない.

例2 $\dfrac 13+\dfrac 24+\dfrac 35+\dfrac 46+\cdots$

 $a_n=\dfrac n{n+2}$ で,$a_n=\dfrac 1{1+\frac 2n}\to 1\ (n\to\infty)$となって0に収束しない.従って無限級数も収束しない.

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