このページにある内容は,こちらのスライドでわかり易く説明しています.
※PC環境なら全画面表示でより見やすく,よりわかりやすい!高校数学[総目次]
数学Ⅲ 第1章 極限
スライド | ノート | |
1. 数列の極限 | [無料] | |
2. 無限等比数列 | [無料] | |
3. 無限級数 | [会員] | |
4. 無限等比級数 | [会員] | |
5. 関数の極限 | [会員] | |
6. (sin x)/x の極限 | [会員] | |
7. 関数の連続性 | [会員] |
2.無限等比数列
2.1 $r^n$ の極限
初項 $1$,公比 $r$ の無限等比数列 \[ 1,\ r,\ r^2,\ \cdots ,\ r^{n-1},\ \cdots \] の極限を考える.
- $r>1$ のとき
$r=1+h\ (h>0)$ とおくと \[\begin{align*} r^n&=(1+h)^n\\ &=\displaystyle{\sum_{k=0}^n {_n\rm{C}}_k\, h^k}\ \ (\because\mbox{二項定理})\\ &=1+nh+\frac{n(n-1)}2h^2+\cdots +h^n\\ &>nh\ \ (\because h>0). \end{align*}\] ここで,$\displaystyle{\lim_{n\to\infty}nh=\infty}$($\because\ h$ は正の定数)であるから,追い出しの原理により,$\displaystyle{\lim_{n\to\infty}r^n=\infty}$.
※二項定理についてはこちら - $r=1$ のとき
$r^n$ は常に1であるから, \[\lim_{n\to\infty}r^n=1.\] - $|r|<1$ のとき
i) $r=0$ のとき,$r^n=0$ により, \[\lim_{n\to\infty}r^n=0.\] ii) $r\neq 0$ のとき,$\left|\dfrac 1r\right|>1$ により $\displaystyle{\lim_{n\to\infty}\left|\dfrac 1r\right|^n=\infty}$.($\because$ 上の1.)
故に, \[\lim_{n\to\infty}\frac 1{\left|\frac 1r\right|^n}=0\ \ \therefore \lim_{n\to\infty}|r|^n=0.\ \ \cdots\ \mbox{①}\] 一方,$-|r|^n\leqq r^n\leqq |r|^n$ で,この左辺も $\displaystyle{\lim_{n\to\infty}\{-|r|^n\}=0}$($\because$ ①)となるから,はさみうちの原理により, \[\lim_{n\to\infty}r^n=0.\] i),ii)から,$\displaystyle{\lim_{n\to\infty}r^n=0}$. - $r\leqq -1$ のとき
i) $r=-1$ のとき,$\{r^n\}$ は振動する.
ii) $r<-1$ のとき,$-r=R$ とおくと,$R>1$ により \[\lim_{n\to\infty}R^n=\infty\ \ (\because\mbox{上の}1.)\] であるが,$r^n=(-1)^nR^n$ により,$\{r^n\}$ は符号を交互に変える.
従ってこのときも振動する.
まとめ 無限等比数列$\{r^n\}$ について \[ \lim_{n\to\infty}r^n=\left\{ \begin{array}{ll} \infty & (r>1\ \mbox{のとき})\\ 1 & (r=1\ \mbox{のとき})\\ 0 & (|r|<1\ \mbox{のとき}) \end{array}\right.\] $r\leqq -1$ のとき,$\{r^n\}$ は振動する.
例
\[\begin{align*} &\lim_{n\to\infty}1.001^n=\infty\\[5pt] &\lim_{n\to\infty}0.999^n=0\\[5pt] &\lim_{n\to\infty}(-0.5)^n=0 \end{align*}\]
上のまとめにより,次の命題が成り立つ:
無限等比数列の収束条件 \[ \lim_{n\to\infty}r^n\ \mbox{が収束する} \iff -1<r\leqq 1\] 特に \[ \lim_{n\to\infty}r^n=0 \iff |r|<1\ (\iff -1<r<1) \]
例題 $a_n=(x^2+x-1)^n$ が収束する $x$ の値の範囲を求めよ.
答
解答例を表示する >2.2 初項と漸化式で定められる数列
例題 $a_1=2,\ a_{n+1}=\dfrac 12a_n+3$ のとき,数列$\{a_n\}$ の極限を求めよ.
答
解答例を表示する >補足1
$y=\dfrac 12 x+3$ と $y=x$ のグラフを考える:
図のように,$a_{n+1}=\dfrac 12 a_n+3$ の極限値は,(もし存在すれば)2直線 $y=\dfrac 12 x+3$ と $y=x$ の交点の $x$ 座標を求める方程式 \[x=\frac 12 x+3 \] の解6である.
注意
$\{a_n\}$ が収束しないなら,交点が存在しても,その交点の $x$ 座標は当然 $\{a_n\}$ の極限値ではない.例
$a_1=\dfrac 34,\ a_{n+1}=2a_n-1$ の極限を求めよ.
$x=2x-1,\ \therefore x=1$
$a_n=-\dfrac 14\cdot 2^{n-1}+1\to -\infty\ (n\to\infty)$
補足
$\displaystyle{\lim_{n\to\infty}a_n=\alpha}$ とすれば,漸化式の両辺を $n\to\infty$ として
$\alpha=\dfrac 12\alpha+3.$(これを特性方程式という)
よって,$\alpha=6$.
2.3 数列 $\left\{\frac {r^n}n\right\}\ (r>1)$ の極限
$r=1+h\ (h>0)$ とおくと,十分大きな $n$ について
\[\begin{align*}
r^n&=(1+h)^n\\
&=\displaystyle{\sum_{k=0}^n {_n\rm{C}}_k\, h^k}\ \ (\because\mbox{二項定理})\\
&=1+nh+\frac{n(n-1)}2h^2+\cdots +h^n\\
&>\frac {n(n-1)}2h^2\ \ (\because h>0)
\end{align*}\]
よって,$\dfrac{r^n}n>\dfrac{n-1}2h^2$.
ここで,$n\to\infty$ のとき,(右辺) $\to\infty$ となるから
\[\lim_{n\to\infty}\frac{r^n}n=\infty\]
補足
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac {r^n}n$ は $\dfrac\infty\infty$ の形であるが,$n$ が大きくなるにつれ,数列$\{r^n\}$ の方が,数列$\{n\}$ よりも急激に大きくなることを意味する.
このページで疑問は解決されましたか?
こちらから数学に関するご質問・ご要望をお寄せください。
高校数学[総目次]
数学Ⅲ 第1章 極限
スライド | ノート | |
1. 数列の極限 | [無料] | |
2. 無限等比数列 | [無料] | |
3. 無限級数 | [会員] | |
4. 無限等比級数 | [会員] | |
5. 関数の極限 | [会員] | |
6. (sin x)/x の極限 | [会員] | |
7. 関数の連続性 | [会員] |