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高校数学[総目次]
数学Ⅲ 第3章 積分法
10.定積分の応用(面積)
10.1 面積
閉区間 $[a,\ b]$ で連続な関数 $f(x)$ と, $x$ 軸,及び2直線 $x=a,\
x=b$ とで囲まれる部分の面積は
\[\int_a^b\!\!|f(x)|dx\]
例題1 半径 $a$ の円の面積 $S$ を求めよ.
答
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$x^2+y^2=a^2$ を $y$ について解くと,
\[y=\left\{\begin{array}{ll}
\sqrt{a^2-x^2}&(\mbox{円の上半分})\\[5pt]
-\sqrt{a^2-x^2}&(\mbox{円の下半分})
\end{array}\right.\]
従って対称性により,
\[S=4\int_0^a\!\!\sqrt{a^2-x^2}\,dx\]
$x=a\cos\theta$ とおくと,
\[dx=-a\sin\theta\,d\theta,\ \ \begin{array}{c|c}
x&0\to 1\\\hline
\theta&\frac\pi2\to 0
\end{array},\]
\[\sqrt{a^2-x^2}=\sqrt{a^2(1-\cos^2\theta)}=|a\sin\theta|=a\sin\theta\]
\[(\because a>0.\ \ \mbox{また,}0\leqq\theta\leqq\frac\pi2\mbox{で}\sin\theta\geqq0)\]
\[\begin{align*}
\therefore S&=4\int_{\frac\pi2}^0a\sin\theta\cdot(-a\sin\theta)\,d\theta\\[5pt]
&=4a^2\int_0^{\frac\pi2}\sin^2\theta\,d\theta\\[5pt]
&=4a^2\int_0^{\frac\pi2}\frac{1-\cos2\theta}2\,d\theta\\[5pt]
&=2a^2\left[\theta-\frac12\sin2\theta\right]_0^{\frac\pi2}\\[5pt]
&=\underline{\pi a^2}
\end{align*}\]
補足
$\displaystyle\int_\alpha^\beta\!\!\sqrt{a^2-x^2\ }\,dx$ 型の積分の計算では,置換積分を行うのではなく,円の面積に帰着させるのが実践的:
$a>0$ のとき,
\[\begin{align*}
&\int_0^a\!\!\sqrt{a^2-x^2}\,dx=\frac{\pi a^2}4\ \ (\mbox{円の}1/4\mbox{の面積})\\[5pt]
&\int_{-a}^a\!\!\sqrt{a^2-x^2}\,dx=\frac{\pi a^2}2\ \ (\mbox{半円の面積})\\[5pt]
&\int_{-\frac a2}^a\!\!\sqrt{a^2-x^2}\,dx=\frac{\sqrt3 a^2}8+\frac{\pi a^2}3\\
\end{align*}\]
(3番目の式は,右辺第1項が直角三角形の面積,第2項が中心角 120$^\circ$ の扇形の面積)
例題2 楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1\ (a>0,b>0)$ の面積 $S$ を求めよ.
答
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楕円の式を $y$ について解くと,
\[y=\left\{\begin{array}{ll}
\ \ \dfrac ba\sqrt{a^2-x^2}&(\mbox{楕円の上半分})\\
-\dfrac ba\sqrt{a^2-x^2}&(\mbox{楕円の下半分})
\end{array}\right.\]
対称性により,$x\geqq0,\ y\geqq0$ の部分の4倍が求めるものであるから,
\[\begin{align*}
S&=4\int_0^a\!\!\frac ba\sqrt{a^2-x^2}\,dx\\
&=\frac{4b}a\underline{\int_0^a\!\!\sqrt{a^2-x^2}\,dx}_{\mbox{①}}
\end{align*}\]
下線①の積分は半径 $a$ の円の4分の1の面積に等しいから,
\[S=\frac{4b}a\cdot\frac{\pi a^2}4=\underline{\pi ab}\]
補足
$S=\pi ab$ は半径 $a$ の円の面積の $\dfrac ba$ 倍となっているが,
\[y=\frac ba\sqrt{a^2-x^2}\]
という式を見れば,各 $x$ に対して $y$ の値が,常に円の場合 $(\sqrt{a^2-x^2}\,)$ の $\dfrac ba$ 倍となっているところからも納得できる.
10.2 2曲線に囲まれた部分の面積
2曲線 $y=f(x)$と$y=g(x)$,及び2直線 $x=a,\
x=b$ (ただし,$a<b$)で囲まれる部分の面積は
\[ \int_a^b\!\!|f(x)-g(x)|dx \]
例題 曲線 $y=x^2\,(-2\leqq x\leqq 1)$ と3直線 $y=x+2,\ x=-2,\ x=1$ で囲まれる部分の面積 $S$ を求めよ.
答
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$x^2=x+2$ より $x^2-x-2=0$.
$(x+1)(x-2)=0$ $\therefore x=-1, 2$.
\[\begin{align*}
S&=\int_{-2}^1\!\!|x^2-(x+2)|\,dx\\[5pt]
&=\int_{-2}^{-1}\!\{x^2-(x+2)\}\,dx-\int_{-1}^1\!\!\{x^2-(x+2)\}\,dx
\end{align*}\]
ここで,$F(x)=\dfrac13x^3-\dfrac12x^2-2x$ とおくと,
\[\begin{align*}
S&=\Bigl[F(x)\Bigr]_{-2}^{-1}-\Bigl[F(x)\Bigr]_{-1}^1\\[5pt]
&=2F(-1)-F(-2)-F(1)\\[5pt]
&=\cdots=\underline{\frac{31}6}
\end{align*}\]
10.3 媒介変数(パラメータ)表示と面積
ポイント
媒介変数(パラメータ)を消去せず,そのままの形を生かす:
\[\int\!\!y\,dx=\int\!\!y\frac{dx}{dt}\,dt\ \ (\mbox{置換積分})\]
例題1 半径1の円の面積 $S$ を求めよ.
答
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円周上の点の座標 $(x,y)$ は,パラメータ $\theta$ を用いて
\[\left\{\begin{array}{l}
x=\cos\theta\\
y=\sin\theta
\end{array}\right.\]
と表されるから,対称性を考慮すると,
\[S=4\int_0^1\!\!y\,dx=4\int_0^1\!\!\sin\theta\,dx\]
(誤1) $\displaystyle S=\Bigl[-\cos\theta\Bigr]_0^1$ (??)
($x$ ではなく,$\theta$ で積分してしまっている)
(誤2) $\displaystyle S=4\sin\theta\int_0^1\!\!dx$ (??)
($x=\cos\theta$ だから,$\sin\theta$ は定数ではない)
(正) $\ x=\cos\theta$より,
\[dx=-\sin\theta\,d\theta,\ \ \begin{array}{c|c}
x&0\to 1\\\hline
\theta&\frac\pi2\to 0
\end{array}\]
であるから,
\[\begin{align*}
S&=4\int_{\frac\pi2}^0\!\!\sin\theta\cdot(-\sin\theta)\,d\theta\\[5pt]
&=4\int_0^{\frac\pi2}\!\!\sin^2\theta\,d\theta\\[5pt]
&=4\int_0^{\frac\pi2}\!\!\frac{1-\cos2\theta}2 d\theta\\[5pt]
&=2\Bigl[\theta-\frac12\sin2\theta\Bigr]_0^{\frac\pi2}\\[5pt]
&=\underline{\pi}
\end{align*}\]
例題2 曲線 $\left\{\begin{array}{l}x=2\sqrt2\cos\theta\\ y=\dfrac 12\sin 2\theta\end{array}\right. \ (0\leqq \theta\leqq \dfrac \pi 2)$ と $x$ 軸とで囲まれた部分の面積$S$を求めよ.
答
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\[\begin{align*}
&\frac{dx}{dt}=-2\sqrt2\sin\theta\ \ (\leqq0)\\[5pt]
&\frac{dy}{dt}=\cos2\theta
\end{align*}\]
よって,$\theta$ が0から $\dfrac\pi2$ まで変化したときの $x,y$ の変化は次のようになる:
従って曲線の概形は次のようになる:
従って,
\[\begin{align*}
S&=\int_0^{2\sqrt2}\!\!y\,dx\\[5pt]
&=\int_{\frac\pi2}^0\!\frac12\sin2\theta\cdot(-2\sqrt2\sin\theta)\,d\theta\\[5pt]
&=\sqrt2\int_0^{\frac\pi2}\sin2\theta\sin\theta\,d\theta\\[5pt]
&=\cdots=\underline{\frac{2\sqrt2}3}
\end{align*}\]
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