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高校数学[総目次]

数学Ⅱ 第3章 図形と方程式

  スライド ノート 問題
1. 座標平面上の点 [無料]    
2. 直線の方程式 [無料]    
3. 円の方程式 [会員]    
4. 円と直線 [会員]    
5. 軌跡と方程式 [会員]   [会員]
6. 不等式と領域 [会員]    

2.1 直線の方程式

[1] 傾き $m$,$y$ 切片 $n$ の直線

\[y=mx+n\]

[2] 点A$(x_1,y_1)$ を通り,傾き $m$ の直線

  求める直線  :$y=mx+n\ \ \cdots$ ①
  これがAを通る:$y_1=mx_1+n\ \ \cdots$ ②
  ① – ②より,$y-y_1=m(x-x_1)$

\[y-y_1=m(x-x_1)\]

検証

 $(x,y)=(x_1,y_1)$ は確かにこの式を満たす.また,この式を変形すると, \[y=mx-mx_1+y_1\] となり,$m$ と $-mx_1+y_1$ はともに定数であるから直線を表す.

[3] 2点A$(x_1,y_1)$,B$(x_2,y_2)$ を通る直線

 $\underline{1^\circ\ \ x_1\neq x_2 \mbox{のとき}}$

   傾き:$\dfrac{y_2-y_1}{x_2-x_1}$
   よって [2] より,

\[y-y_1=\frac{y_2-y_1}{x_2-x_1}(x-x_1)\ \ \cdots(*)\]

補足

 2点 A, B の位置関係は,次のいずれであっても上の式で表される.

 また,$y_1=y_2$ のとき,直線は $x$ 軸に平行になるが,この場合も上の式で表すことができて,

\[y=y_1\]

 $\underline{2^\circ\ \ x_1= x_2 \mbox{のとき}}$

  直線は $x$ 軸に垂直であり,$(*)$ の式で表すことができない.このとき直線の方程式は,

\[x=x_1\]

まとめ  傾き $m$,$y$ 切片 $n$ の直線:\[y=mx+n\]  点$(x_1,y_1)$を通り,傾き$m$ の直線:\[y-y_1=m(x-x_1)\]  2点$(x_1,y_1),\ (y_2,y_2)$ を通る直線:
\[\begin{align*} &x_1\neq x_2 \mbox{ のとき,}y-y_1=\frac{y_2-y_1}{x_2-x_1}(x-x_1)\\[5pt] &x_1=x_2 \mbox{ のとき,}x=x_1 \end{align*}\]

例題 2点 $(1,1),\ (3,5)$ を通る直線の方程式を求めよ.

\[y-1=\frac{5-1}{3-1}(x-1)\ \ \therefore \underline{\boldsymbol{y=2x-1}}\]

  別解

\[y-5=\frac{5-1}{3-1}(x-3)\ \ \therefore \underline{\boldsymbol{y=2x-1}}\]

補足

 $a\neq0,b\neq0$ とする.2点 $(a,0)$,$(0,b)$ を通る直線の方程式は, \[y=-\frac bax+b\] \[\therefore \frac bax+y=b\]  両辺を $b$ で割って次を得る:

\[\frac xa+\frac yb=1\]

例題 2点 $(3,0),\ (0,2)$ を通る直線を求めよ.

\[\underline{\boldsymbol{\frac x3\!+\!\frac y2\!=\!1}}\ \left(y\!=\!-\frac 23 x\!+\!2\right)\]

直線の方程式の一般形

 一般に,$x$ と $y$ の1次方程式

$ax+by+c=0\ \ \ \cdots$ ①
(ただし,$a\neq0$ または $b\neq0$)

のグラフは直線である.
 逆に,直線の方程式はすべて①の形で表すことができる.

2.2 2直線の関係

[1] 平行条件

 2直線 $y\!=\!m_1x\!+\!n_1\cdots$①,$y\!=\!m_2x\!+\!n_2\cdots$②について,\[\mbox{①}//\mbox{②}\iff m_1=m_2\]

例題 点 $(1,4)$ を通り,直線 $y=-2x+1$ に平行な直線を求めよ.

 傾きが $-2$ で,点 $(1,4)$ を通る直線だから, \[\begin{align*} y-4&=-2(x-1)\\[5pt] \therefore y&=-2x+6 \end{align*}\]

[2] 垂直条件

 2直線 $y\!=\!m_1x\!+\!n_1\cdots$①,$y\!=\!m_2x\!+\!n_2\cdots$②について,\[\mbox{①}\perp\mbox{②}\iff m_1m_2=-1\]

証明

 2直線①,②にそれぞれ平行な直線

$y=m_1x\ \ \cdots$ ①$’$,$y=m_2x\ \ \cdots$ ②$’$

が垂直に交わる場合を考えれば十分.

 2直線①$’$,②$’$上で,$x$ 座標が1である点をそれぞれA,Bとすると, \[\begin{align*} \mbox{①}’\perp\mbox{②}’&\iff \angle{\rm AOB}=90^\circ\\[5pt] &\iff {\rm OA}^2+{\rm OB}^2={\rm AB}^2\ (\mbox{三平方の定理})\\[5pt] &\iff (1^2\!+\!{m_1}^2)\!+\!(1^2\!+\!{m_2}^2)\!=\!(m_1\!-\!m_2)^2\\[5pt] &\iff m_1m_2=-1 \end{align*}\]

例題 直線 $y=2x+5$に垂直な直線の傾きを求めよ.

 求める直線の傾きを $m$ とすると,

\[2\times m=-1\ \therefore \underline{\boldsymbol{m=-\frac12}}\]

発展的補足

 2直線 $a_1x+b_1y+c_1=0\cdots$①,$a_2x+b_2y+c_2=0\cdots$②について,\[\begin{align*}\mbox{①}//\mbox{②}&\iff a_1b_2-a_2b_1=0\\ \mbox{①}\perp\mbox{②}&\iff a_1a_2+b_1b_2=0\end{align*}\]

証明

 $b_1\neq0$ かつ $b_2\neq0$ の場合を示す.
 ①より $y=-\dfrac{a_1}{b_1}x-\dfrac{c_1}{b_1}$
 ②より $y=-\dfrac{a_2}{b_2}x-\dfrac{c_2}{b_2}$
 よって,

\[\begin{align*} \mbox{①}//\mbox{②}&\iff -\frac{a_1}{b_1}=-\frac{a_2}{b_2}\\[5pt] &\iff a_1b_2-a_2b_1=0\\[5pt] \mbox{①}\perp\mbox{②}&\iff -\frac{a_1}{b_1}\cdot\left(-\frac{a_2}{b_2}\right)=-1\\[5pt] &\iff a_1a_2+b_1b_2=0 \end{align*}\]

※ 上の関係は,$b_1=0$ または $b_2=0$ のケースも含めて,ベクトルの内積を用いて示すのが簡潔.

[3] 一致条件

 2直線 $a_1x+b_1y+c_1=0$,$a_2x+b_2y+c_2=0$ が一致する条件は, \[\frac{a_2}{a_1}=\frac{b_2}{b_1}=\frac{c_2}{c_1}\]  ただし,分子か分母の一方でも0のときは,他方も0.

注意

 一致条件は,$a_1=a_2$,$b_1=b_2$,$c_1=c_2$ ではない
 例えば,$x+2y+3=0$ と $2x+4y+6=0$ は同じ直線を表す.

2.3 直線に関して対称な点

     2点A,Bが直線 $l$ に関して対称
 $\iff$ AB $\perp l$ かつ 線分ABの中点が $l$ 上

例題 直線 $l:y\!=\!2x\!-\!1$ に関して,点A$(0,4)$ と対称な点B$(p,q)$ を求めよ.

 $\underline{{\rm AB}\perp l :}$
  $\dfrac{q-4}{p-0}\cdot 2=-1\ \ \therefore p+2q=8\ \ \cdots$ ①
 $\underline{\mbox{線分}{\rm AB}\mbox{の中点が} \,l\,\mbox{上}:}$
  $\dfrac{4+q}2=2\cdot\dfrac{0+p}2-1\ \ \therefore 2p-q=6\ \cdots$ ②
 ①,②より,$p=4,\ q=2$.
 よって,$\underline{\boldsymbol{{\rm B}(4,2)}}$

2.4 2直線の交点を通る直線

Q. $k$ を定数として, \[k(x\!-\!y\!-\!1)\!+\!x\!+\!2y\!-\!4\!=\!0\ \cdots(*)\] はどんな図形を表すか?

A. 2直線 $x\!-\!y\!-\!1\!=\!0$, $x\!+\!2y\!-\!4\!=\!0$ の交点を通る直線を表す.

検証

1° 直線を表すことについて

$(*)$を整理すると, \[(k\!+\!1)x\!+\!(-k\!+\!2)y\!+\!(-k\!+\!4)\!=\!0\] これは $a,b,c$ を定数として, \[ax+by+c=0\] の形をしている.
 また,$x$ と $y$ の係数は同時には0にならない.
 従って,$(*)$は直線を表す.

2° 2直線の交点を通ることについて

2直線 $x-y-1=0$,$x+2y-4=0$ の交点の座標は $(2,1)$.これを$(*)$に代入すると, \[k(2\!-\!1\!-\!1)\!+\!2\!+\!2\!\cdot\!1\!-\!4\!=\!0\] これは $k$ の値によらず成り立つ.従って$(*)$は常に2直線の交点を通る.

一般には次が成り立つ:

 2直線 $a_1x\!+\!b_1y\!+\!c_1\!=\!0,\ a_2x\!+\!b_2y\!+\!c_2\!=\!0$ が交わるとき,交点を通る直線の方程式は,$k$ を定数として \[k(a_1x\!+\!b_1y\!+\!c_1)\!+\!a_2x\!+\!b_2y\!+\!c_2\!=\!0\ \cdots (☆)\] と書ける.

注意

(☆)は $k$ の値が決まれば1つの直線が定まる.直線を決定するには2直線の交点の他に,もう1つ通る点 $(p,q)$ を指定すればよい.そのことで $k$ の値が定まる: \[k(a_1p\!+\!b_1q\!+\!c_1)\!+\!a_2p\!+\!b_2q\!+\!c_2\!=\!0\ \cdots\mbox{①}\]  ここで,点 $(p,q)$ が直線 $a_1x+b_1y+c_1=0$ 上になければ,$a_1p+b_1q+c_1\neq0$ であるから, \[k=-\frac{a_2p+b_2q+c_2}{a_1p+b_1q+c_1}\]  一方,点 $(p,q)$ が直線 $a_1x+b_1y+c_1=0$ 上にあるならば,$a_1p+b_1q+c_1=0$,$a_2p+b_2q+c_2\neq0$ となるから,①を満たす $k$ は存在しない. このとき,2直線の交点と点 $(p,q)$ を通る直線とは直線 $a_1x+b_1y+c_1=0$ にほかならない.つまり,

(☆)は直線$a_1x\!+\!b_1y\!+\!c_1\!=\!0$だけは表せない

例題 2直線 $8x\!-\!2y\!-\!19\!=\!0\cdots\mbox{①},\ 2x\!-\!6y\!+\!9\!=\!0\cdots\mbox{②}$ の交点と,点$(-2,10)$を通る直線の方程式を求めよ.

解1 [平凡には]
 ①,②を連立して,$(x,y)=\left(3,\dfrac52\right)$
 よって, \[y-10=\frac{\frac52-10}{3-(-2)}(x+2)\] \[\therefore \underline{\boldsymbol{y=-\frac32x+7}}\ \ (3x+2y-14=0)\]

解2 [(☆)の利用]
 2直線①,②の交点を通る直線の方程式は,$k$ を定数として \[k(8x-2y-19)+2x-6y+9=0\ \ \cdots\mbox{③}\] と書ける.これが点 $(-2,10)$ を通るとき, \[k\{8\!\cdot\!(-2)\!-\!2\!\cdot\!10\!-\!19\}\!+\!2\!\cdot\!(-2)\!-\!6\!\cdot\!10\!+\!9\!=\!0\] \[k(-16-20-19)+-4-60+9=0\] \[-55k-55=0\] \[\therefore k=-1\]  従って③より, \[-(8x-2y-19)+2x-6y+9=0\] \[\therefore \underline{\boldsymbol{3x+2y-14=0}}\]

2.5 点と直線の距離

点と直線の距離 点P$(x_1,y_1)$ と直線 $l:ax\!+\!by\!+\!c\!=\!0$ の距離 $d$ は,\[ d=\frac{|ax_1+by_1+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}\]

証明の方針

 まず,特別な場合として原点と直線 $l$ の距離を計算する.
   ↓
 一般の点 $(x_1,y_1)$ との距離は,この点が原点にくるように全体を平行移動して考える.

 直線 $l:ax+by+c=0$ のついて,

[1] 原点と直線の距離 $\boldsymbol{d}$

 原点Oから直線 $l$ に垂線OHを下ろす:

 直線OH:$bx-ay=0$
 $l$ と連立して,

\[{\rm H}\left(\frac{-ac}{a^2+b^2},\ \frac{-bc}{a^2+b^2}\right)\]

 従って2点間の距離の公式により,

\[d^2=\left(\frac{-ac}{a^2+b^2}\right)^2+\left(\frac{-bc}{a^2+b^2}\right)^2=\frac{c^2}{a^2+b^2}\]

 $d>0$ より,$\underline{\boldsymbol{d=\dfrac{|c|}{\sqrt{a^2+b^2}}}}$

[2] P$\boldsymbol{(x_1,y_1)}$ と直線の距離 $\boldsymbol{d}$

 Pが原点にくるように $l$ を平行移動した直線を $l\,’$ とすると,

\[l\,’:a(x+x_1)+b(y+y_1)+c=0\]

\[\therefore ax+by+ax_1+by_1+c=0\]

 よって[1]により,$\underline{\boldsymbol{d=\dfrac{|ax_1+by_1+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}}}$

    (これは[1]のケースを含んでいる.)

発展的補足

 分子の絶対値は,点と直線の上下関係がはっきりしている場合,外すことができる.(詳しくは「6節 不等式と領域」参照.)

点が直線の上側にあるとき

$\boldsymbol{b>0}$ のとき

① 点が直線の上側
$\iff y_1>-\dfrac abx_1-\dfrac cb$
$\iff ax_1+by_1+c>0\ \ (\because b>0$)

② 点が直線の下側
$\iff y_1<-\dfrac abx_1-\dfrac cb$
$\iff ax_1+by_1+c<0\ \ (\because b>0$)

$\boldsymbol{b<0}$ のとき

① 点が直線の上側
$\iff y_1>-\dfrac abx_1-\dfrac cb$
$\iff ax_1+by_1+c<0\ \ (\because b<0$)

② 点が直線の下側
$\iff y_1<-\dfrac abx_1-\dfrac cb$
$\iff ax_1+by_1+c>0\ \ (\because b<0$)

例題 点$(-4,5)$ と直線 $x\!-\!2y\!+\!3\!=\!0$ との距離 $d$ を求めよ.

\[d=\dfrac{|-4-2\times5+3|}{\sqrt{1^2+(-2)^2}}=\dfrac{|-11|}{\sqrt5}=\underline{\boldsymbol{\dfrac{11}{\sqrt5}}}\]

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