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高校数学[総目次]

数学Ⅲ 第2章 微分法

  スライド ノート 問題
1. 微分係数と導関数 [無料]    
2. 合成関数の導関数 [無料]    
3. 逆関数の微分法 [無料]   [会員] 
4. 三角関数の導関数 [会員]    
5. 対数関数・指数関数の導関数 [会員]    
6. 媒介変数表示と導関数 [会員]    
7. 陰関数の導関数 [会員]    
8. 平均値の定理 [会員]    
9. 関数の値の変化 [会員]    
10. 関数の極大・極小 [会員]    
11. 関数のグラフ [会員]    

5.対数関数・指数関数の導関数

5.1 自然対数の底 $e$

数列 $\{a_n\}$ を \[a_n=\left(1+\frac1n\right)^n\] とすれば,$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n$ は収束することが知られていて, \[\lim_{n\to\infty}a_n=\lim_{n\to\infty}\left(1+\frac1n\right)^n=2.71828\cdots(\mbox{無理数})\] となる:

重要な数列の極限

 $n$ が自然数のとき, \[ \lim_{n\to\infty}\left(1+\frac 1n\right)^n=2.71828\cdots \]

補足

① 無理数 2.71828$\cdots$ を $e$ で表す.
② $x$ を実数として$\displaystyle\lim_{x\to\infty}\left(1+\frac1x\right)^x$ や $\displaystyle\lim_{x\to-\infty}\left(1+\frac1x\right)^x$ も,同じく $e$ に収束することが知られている:

重要な関数の極限①

 $x$ が実数のとき, \[ \lim_{x\to\infty}\left(1+\frac 1x\right)^x=e,\ \ \lim_{x\to-\infty}\left(1+\frac 1x\right)^x=e \]

③ 上の式で $\dfrac1x=h$ とおくと,$x\to\pm\infty$ のとき $h\to0$ であるから次が成り立つ:

重要な関数の極限②

\[ \lim_{h\to 0}(1+h)^{\frac 1h}=e \]

大学入試ワンポイント

 簡単には考えにくい関数の極限のいくつかで,上にあげた極限,及び三角関数を絡めた次の極限が突破口になることがあるのでまとめておく.

しばしば突破口になる関数の極限\[\begin{align*} &[1]\ \ \lim_{x\to0}\frac{\sin x}x=1\\[5pt] &[2]\ \ \lim_{x\to\infty}\left(1+\frac 1x\right)^x=e\\[5pt] &[3]\ \ \lim_{x\to 0}(1+x)^{\frac 1x}=e \end{align*}\]

5.2 対数関数の導関数

\[\begin{align*} (\log_ax)’&=\lim_{\Delta x\to0}\frac{\log_a(x+\Delta x)-\log_ax}{\Delta x}\\[5pt] &=\lim_{\Delta x\to0}\frac1{\Delta x}\log_a\left(1+\frac{\Delta x}x\right)\ \ \cdots\mbox{①} \end{align*}\]

 ここで $\dfrac{\Delta x}x=h$ とおくと,$\Delta x\to0$ のとき $h\to0$ であるから,

\[\begin{align*} \mbox{①}&=\lim_{h\to0}\frac1{xh}\log_a(1+h)\\[5pt] &=\frac1x\times\lim_{h\to 0}\log_a(1+h)^\frac1h\\[5pt] &=\frac1x\times\log_ae\\ &=\frac1{x\log_ea}\ \ (\because\mbox{底の変換公式}) \end{align*}\]

 特に $a=e$ のとき, \[(\log_ex)’=\frac1{x\log_ee}=\frac1x\]  $e$ を底とする対数を自然対数といい,微積分では対数といえば通常自然対数を指す.また,底 $e$ は省略され,$\log x$ と表す.

まとめ\[ (\log x)’=\frac 1x,\ \ \ \ \ (\log_ax)’=\frac 1{x\log a} \]

例1

 $y=\log(x^2+1)$ のとき,$y’=\dfrac{2x}{x^2+1}$
 $\because)\ \left\{\begin{array}{l}y=\log u\\u=x^2+1\end{array}\right.$ とすると,$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac1u\cdot2x$

例2

 $y=\log kx\ (k\neq 0)$のとき,$y’=\dfrac1x$
 $\because)\ y’=\dfrac1{kx}\cdot(kx)’=\dfrac1x$

5.3 $y=\log|x|$ の導関数

 $y=\log|x|=\left\{\begin{array}{ll} \log x & (x > 0)\\ \log(-x) & (x < 0) \end{array}\right.$ であるから,すぐ上の例2により次が成り立つ:

\[ (\log|x|)’=\frac 1x,\ \ \ \ (\log_a|x|)’=\frac 1{x\log a}\]

 $y=\log|2x-1|$ のとき,$y’=\dfrac{(2x-1)’}{2x-1}=\dfrac2{2x-1}$
$\left\{\begin{array}{l}y=\log|u|\\ u=2x-1 \end{array}\right.$ とすると,$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{dy}{du}\cdot\dfrac{du}{dx}=\dfrac1u\cdot2$

 次にあげる公式は $\dfrac{y’}y$ の形でもしばしば登場するものである.(5.4節補足 対数微分法を参照)

公式 \[ \{\log|f(x)|\}’=\frac{f'(x)}{f(x)} \]

証明

 $\left\{\begin{array}{l}y=\log|u|\\ u=f(x) \end{array}\right.$ とすると,合成関数の導関数の公式から \[\frac{dy}{dx}=\frac{dy}{du}\cdot\frac{du}{dx}=\frac1u\cdot f'(x)=\frac{f'(x)}{f(x)}\]

 これまで $(x^r)’=rx^{r-1}$ という公式は $r$ が有理数まで拡張されてきたが,いよいよ実数にまで拡張する.

公式 $\alpha$ が実数,$x>0$ のとき, \[(x^\alpha)’=\alpha x^{\alpha-1} \]

証明

 $y=x^\alpha$ において,$x^\alpha>0$ により,両辺の対数をとると, \[\log y=\alpha\log x\]  この両辺を $x$ で微分して, \[\underline{\frac{y’}y}=\alpha\cdot\frac1x\ \ (\because\mbox{2つ上の公式})\] \[\therefore y’=\alpha\cdot\frac yx=\alpha\cdot\frac{x^\alpha}x=\alpha x^{\alpha-1}\]

補足

 $(x^A)’\ (\,A$ は実数)は,$A$ を
   自然数 (帰納法あるいは二項定理で示した.)
  →整数  (商の導関数で示した.)
  →有理数 (逆関数の導関数で示した.)
  →実数  (対数微分法(次節)で示した.)
の順で拡張してきた.

5.4 指数関数の導関数

 $a > 0,a\neq1$ のとき,$y=a^x$ について,指数関数は常に正であるから,両辺の対数をとると, \[\log y=x\log a\]  この両辺を $x$ で微分すると, \[\frac{y’}y=\log a\] \[\therefore y’=y\log a=a^x\log a\]  特に $a=e$ のとき, \[(e^x)’=e^x\log e=e^x\]

まとめ\[ (e^x)’=e^x,\ \ (a^x)’=a^x\log a \]

 $y=e^{3x}$ のとき,$y’=e^{3x}\cdot(3x)’=\underline{3e^{3x}}$
 $\left\{\begin{array}{l} y=e^u\\ u=3x \end{array}\right.$により,$\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{dy}{du}\cdot\dfrac{du}{dx}=e^u\cdot3=3e^{3x}$

補足 対数微分法

 $y=x^\alpha$ や $y=a^x$ の導関数を求める際,両辺の対数をとってから微分をしたが,このように対数をとってから微分する方法を対数微分法という.

例題 $y=\dfrac{x^2}{(x+1)^2(x-1)^3}$ を微分せよ.

 与式の両辺の絶対値をとって, \[|y|=\left|\frac{x^2}{(x+1)^2(x-1)^3}\right|\]  両辺の対数をとると, \[\log|y|=\log\left|\frac{x^2}{(x+1)^2(x-1)^3}\right|\] \[\therefore \log|y|=2\log|x|-2\log|x+1|-3\log|x-1|\]  この両辺を$x$で微分すると, \[\frac{y’}y=\frac2x-\frac2{x+1}-\frac3{x-1}\] \[\begin{align*} \therefore y’&=y\left(\frac2x-\frac2{x+1}-\frac3{x-1}\right)\\ &=\frac{x^2}{(x+1)^2(x-1)^3}\cdot\frac{-3x^2-x-2}{x(x+1)(x-1)}\\ &=\underline{-\frac{x(3x^2+x+2)}{(x+1)^3(x-1)^4}} \end{align*}\]

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