高校数学[総目次]
数学Ⅲ 第2章 微分法
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2. 合成関数の導関数 | [無料] | ||
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6. 媒介変数表示と導関数 | [会員] | ||
7. 陰関数の導関数 | [会員] | ||
8. 平均値の定理 | [会員] | ||
9. 関数の値の変化 | [会員] | [会員] | |
10. 関数の極大・極小 | [会員] | ||
11. 関数のグラフ | [会員] |

11.関数のグラフ
11.1 曲線の凹凸
微分可能な関数のグラフを考える.
ある区間で,接線の傾きが増加しているとき,グラフはその区間で下に凸という.逆にその区間で接線の傾きが減少しているとき,グラフはその区間で上に凸という.

(接線の傾きが増加)

(接線の傾きが減少)
例えばある区間で,f′(x) の導関数である f′′(x) が常に正ならば,f′(x) は単調に増加するから,f(x) の接線の傾きは増加していく.即ち,その区間でグラフは下に凸である.ある区間で常に f′′(x)<0 となる場合も同様である.
まとめ 関数 f(x) が f′′(x) をもつとき,
常に f′′(x)>0 である区間でグラフは下に凸である.
常に f′′(x)<0 である区間でグラフは上に凸である.

11.2 変曲点
曲線の凹凸の境目を変曲点という.

変曲点であるための必要条件
第2次導関数 f′′(x) をもつ関数 f(x) について,グラフが x=a を含むある区間において,x=a で上に凸から下に凸に変わるとする.

その区間内の x<a で f′′(x)<0,x>a で f′′(x)>0 だから,f′′(x) が連続ならば f′′(a)=0
x=a で下に凸から上に凸に変わる場合も,同様の理由で f′′(a)=0 となる.
定理 関数 f(x) の第2次導関数 f′′(x) が連続のとき, 点(a, f(a))が変曲点 ⟹ f′′(a)=0
注意
逆 (⇐) はいえない.
(反例)
f(x)=x4 について,f′(x)=4x3,f′′(x)=12x2 であるから,f′′(0)=0.しかし,点(0,f(0)) は変曲点ではない.


11.3 漸近線の求め方
関数 y=f(x) のグラフにおいて,
① limx→∞f(x)=a,またはlimx→−∞f(x)=a
→ 直線 y=a は漸近線.

② limx→a+0f(x)=∞,又はlimx→a+0f(x)=−∞
又はlimx→a−0f(x)=∞,又はlimx→a−0f(x)=−∞
→ 直線 x=a は漸近線.

x→a+0 のケース
③ limx→∞{f(x)−(ax+b)}=0,又はlimx→−∞{f(x)−(ax+b)}=0
→ 直線 y=ax+b は漸近線.

補足
③について,y=ax+b の a と b はどのようにしてわかるか?
もし,f(x) のグラフが x→∞ で直線 y=ax+b に漸近するならば,次が成り立つ:
a=limx→∞f(x)x, b=limx→∞{f(x)−ax}
証明
limx→∞{f(x)−(ax+b)}=0 ⋯① のとき, limx→∞f(x)−(ax+b)x=0 ∴ \therefore \lim_{x\to\infty}\left\{\frac{f(x)}x-a\right\}=0\ \ (\because \frac bx\to0(x\to\infty)) \therefore a=\lim_{x\to\infty}\frac{f(x)}x このようにして a が求まれば,①により, \lim_{x\to\infty}\{f(x)-ax\}-b=0 \therefore b=\lim_{x\to\infty}\{f(x)-ax\}
■
補足
x\to-\infty のとき直線 y=ax+b に漸近する場合も同様にして a と b を求めることができる.
注意
\displaystyle{a=\lim_{x\to\infty}\frac{f(x)}x} となる a が存在しても,漸近線が存在するとは限らない.例えば f(x)=x+\sqrt x のとき
\frac{f(x)}x=1+\frac1{\sqrt x}\to1\ \ (x\to\infty)
となるから a=1.然るに
\lim_{x\to\infty}\{f(x)-x\}=\lim_{x\to\infty}\sqrt x=\infty
となるから,\displaystyle b=\lim_{x\to\infty}\{f(x)-ax\} は有限確定値とならない.別の例として f(x)=\sin x とすれば,はさみうちの原理により \dfrac {\sin x}x\to 0\ (x\to\infty) だが,サインカーブに漸近線はない.
要するに x\to\infty の場合では
曲線 y=f(x) が直線 y=ax+b を漸近線にもつ
\iff \displaystyle\lim_{x\to\infty}\{f(x)-(ax+b)\}=0
\iff \displaystyle\lim_{x\to\infty}\{f(x)-ax\}=b
\color{red}{\Longrightarrow }\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{f(x)}x=a
※最後は矢印が右向きだけであることに注意
なのであって,\displaystyle\lim_{x\to\infty}\{f(x)-ax\}=b (有限確定値) が成り立って初めて直線 y=ax+b が漸近線であるといえる訳である.
例題 f(x)=\dfrac{x^2}{x-1} の漸近線を求めよ.
答
解答例を表示する
11.4 第2次導関数と極値
x=a を含むある区間で,f^{\prime\prime}(x) が連続のとき,
[1] f^\prime(a)=0 かつ f^{\prime\prime}(a)<0 ならば,f(a) は極大値
[2] f^\prime(a)=0 かつ f^{\prime\prime}(a)>0 ならば,f(a) は極小値
証明
[1]の証明
f^{\prime\prime}(x) は連続だから,f^{\prime\prime}(a) < 0 ならば,x=a の十分近くでは常に f^{\prime\prime}(x) < 0 となる.

x=a の十分近くで f^{\prime\prime}(a)<0
(赤い線分の範囲)
f'(x) の導関数 f^{\prime\prime}(x) が常にf^{\prime\prime}(x) < 0 となるから,x=a の十分近くで f'(x) は単調に減少する.f'(a)=0 だから,f'(x) の符号は,x=a の前後で正から負に転じる.

x=a の前後で正から負に転じる
即ち,f(a) は極大値である.
([2]も同様に証明される.)
■

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