高校数学[総目次]
第6章 微分法・積分法
スライド | ノート | 問題 | |
1. 微分係数 | [会員] | ||
2. 導関数 | [会員] | ||
3. 接線 | [会員] | [会員] | |
4. 関数の値の変化 | [会員] | [会員] | |
5. 極大・極小 | [会員] | ||
6. 関数のグラフと方程式・不等式 | [会員] |
7. 不定積分 | [会員] | ||
8. 定積分 | [会員] | ||
9. 様々な定積分 | [会員] | ||
10. 面積 | [会員] |

演習問題
問題1【標準】
関数 f(x)=x3+ax2+3x+1f(x)=x3+ax2+3x+1 について,次の条件を満たすような定数 a の値の範囲をそれぞれ求めよ.
(1) すべての実数において,単調に増加する.
(2) 0≦x≦1 において,単調に増加する.
問題2【標準】
x=1 で極小値 −21 をとり,x=−3 で極大値をとる3次関数 f(x) のうち,x3 の係数が1であるものを求めよ.
問題3【標準】
関数 f(x)=ax3+3bx2+3cx は x=1 で極大値, x=3 で極小値をとり,極大値と極小値の差は8である.定数 a, b, c の値を求めよ.
問題4【標準】
次の関数の極値を求めよ.ただし,a は定数とする.
(1) f(x)=x3+3ax2
(2) f(x)=x3−2ax2+a2x
問題5【標準】
関数 f(x)=13x3+12ax2+bx+c について,次の各問いに答えよ.
(1) x=1 で極大となるための必要十分条件を求めよ.
(2) x=−2 で極小となるための必要十分条件を求めよ.
問題6【標準】
次の関数のグラフをかけ.
(1) y=x3−3x2−6x+5
(2) y=|x3+x2−x−1|
(3) y=|x|(x2−3x+2)
問題7【標準】
関数 f(x)=x3+ax2+bx+c が 0<x<1 の範囲に極大値と極小値をとるとき,点 (a, b) の存在範囲を図示せよ.
問題8【標準】
関数 f(x)=x3+ax2+bx+c が x=α で極大値をとり,x=β で極小値をとるとき,極大値と極小値の差を α, β で表せ.また,a, b で表せ.
問題9【標準】
関数 f(x)=x4+4x3−18x2+4px+q, g(x)=f′(x) とする.次の各問いに答えよ.
(1) g(x) の極大値と極小値の絶対値が等しくなるように,p の値を定めよ.
(2) そのとき,f(x) の極大値が正,2つの極小値が共に負になるような q の値の範囲を求めよ.

ある範囲での単調性を示すことは,その範囲で導関数が非負(あるいは非正)であることを示すことと同値です.この場合,指定された範囲で,f′(x)≧0 を示します.
解答
(1) f′(x)=3x2+2ax+3.f(x) がすべての実数の範囲で単調に増加するとき,f′(x) がすべての実数で非負であるから f′(x)=0 の判別式を D とすると D≦0.よって
D/4=a2−3⋅3≦0
∴−3≦a≦3
(2) f′(x)=3x2+2ax+3=3(x+a3)2+3−a23.
f(x) が 0≦x≦1 で単調増加
⟺0≦x≦1 で f′(x)≧0 ⋯ ①
1∘ −a3<0 即ち a>0 のとき
① ⟺f′(0)≧0 となるが, f′(0)=3>0 より成り立つ.
2∘ 0≦−a3≦1 即ち −3≦a≦0 (⋯ ②) のとき
① ⟺f′(−a3)=3−a23≧0.
これを解いて −3≦a≦3
②とから −3≦a≦0
3∘ −a3>0 即ち a<0 (⋯ ③) のとき
① ⟺f′(1)=2a+6≧0.
これを解いて a≧−3
③とからこの場合は不適.
以上により,求める a の値の範囲は a≧−3
(2) の別解
f′(x)=3x2+2ax+3=3(x+a3)2+3−a23.
f(x) が 0≦x≦1 で単調増加
⟺0≦x≦1 で f′(x)≧0 ⋯ ①
⟺0≦x≦1 における f′(x) の最小値が非負.⋯ ①
f′(x) はグラフが下に凸な2次関数であるから 0≦x≦1 における最小値の候補は
f′(0), f′(1), f′(−a3)
即ち
3, 2a+6, 3−a23
である.ただし,3−a23 は,軸 x=−a3 が 0≦x≦1 に入っている −3≦a≦0 の範囲でのみ有効である.従って①は,
3≧0 かつ 2a+6≧0 かつ −3≦a≦0 の範囲で 3−a23≧0
と同値である.従って
① ⟺−3≦a≦0 以外では 2a+6≧0
−3≦a≦0 では 2a+6≧0 かつ 3−a23≧0
⟺ −3≦a≦0 以外では a≧−3
−3≦a≦0 では a≧−3 かつ −3≦a≦3
⟺ −3≦a≦0 以外では a≧0
−3≦a≦0 では −3≦a≦0
以上により求める a の値の範囲は a≧−3
3つの解法を示します.まずは,教科書的な解法です.
解答
f(x)=x3+ax2+bx+c とおく.f′(x)=3x2+2ax+b である.
x=1 で極小値 −21 をとるから,f′(1)=0,f(1)=−21.
∴{3+2a+b=0⋯①1+a+b+c=−21⋯②
また,x=−3 で極大となるから f′(−3)=0.
∴27−6a+b=0 ⋯ ③
①~③より a=3,b=−9,c=−16.
逆にこのとき f′(x)=3x2+6x−9=3(x−1)(x+3) となり,増減表が次のようになるから条件を満たす.

故に,f(x)=x3+3x2−9x−16
別解1 [f′(x) を恒等式から求めてしまう解法です.]
f(x)=x3+ax2+bx+c とおく.f′(x)=3x2+2ax+b (⋯①) である.
f(x) は x=1,−3 で極値をとるから,f′(1)=0,f′(−3)=0.よって
f′(x)=3(x−1)(x+3)=3x2+6x−9
となるから,①と係数を比較して a=3,b=−9.
また f(1)=−21 より 1+a+b+c=−21 ∴c=−16.
(以下省略)
別解2 [f(x) を恒等式から形を決めてしまう解法です.]
f(x)=x3+ax2+bx+c とおく.曲線 y=f(x)+21 は x 軸と x=1 で接するので,方程式 f(x)+21=0 は x=1 を重解にもつ.すると残りの解を p として,
f(x)+21=x3+ax2+bx+c+21=(x−1)2(x−p)
と表せる.係数を比較して
a=−p−2, b=2p+1, c+21=−p ⋯ ①
また,f′(x)=3x2+2ax+b で,f(x) は x=−3 で極値をとるから f′(−3)=0.よって 27−6a+b=0.①を代入して
27−6(−p−2)+(2p+1)=0
∴p=−5
従って①より a=3, b=−9, c=−16.
(以下省略)
3つの条件を式にして,あとは連立方程式を解くだけです.「補足」にあるように,積分を学習したあとでは,3次関数における極値の差は導関数の定積分から計算するのが定石です.
解答
f′(x)=3ax2+6bx+3c で, x=1,3 で極値をとるから f′(1)=0, f′(3)=0.
∴{a+2b+c=0⋯①9a+6b+c=0⋯②
3次関数では (極大値)>(極小値) となるから f(1)−f(3)=8
∴13a+12b+3c=−4 ⋯③
①~③より a=2, b=−4, c=6.
逆にこのとき,f′(x)=6x2−24x+18=6(x−1)(x−3) となり,増減表が以下のようになるから上の a ~ c は条件を満たす.

別解
f′(x)=3ax2+6bx+3c ⋯① で, x=1,3 で極値をとるから
f′(x)=3a(x−1)(x−3)=3a(x2−4x+3)
①と係数を比較して 6b=−12a, 3c=9a.
∴b=−2a, c=3a ⋯ ②
3次関数では (極大値)>(極小値) となるから f(1)−f(3)=8
∴13a+12b+3c=−4 ⋯③
②を③に代入して
13a+12⋅(−2a)+3⋅3a=−4 ∴a=2
従って②より,b=−4, c=6.
(以下省略)
補足
「極値の差が8」という条件は,別解の最初2行から
f(1)−f(3)=∫13f′(x)dx=3a∫13(x−1)(x−3)dx=−3a6(1−3)3=4a
となるから 4a=8 ∴a=2 としてもよいでしょう.
3次関数の極値の差は,導関数の定積分から求めるのが1つの受験テクニックです.問題8にも同様の設定があります.