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高校数学[総目次]

数学B 第2章 数列

  スライド ノート 問題
1. 等差数列 [無料]    
2. 等比数列 [無料]    
3. Σ(シグマ)と和の公式 [無料]    
4. 階差数列 [会員]    
5. 数列の和と一般項 [会員]    
6. $a_n=b_n-b_{n-1}$ 型の和 [会員]    
7. (等差)×(等比)の和 [会員]    
8. 群数列 [会員]   [会員]
9. 隣接2項間漸化式(その1) [会員]    
10. 隣接2項間漸化式(その2) [会員]    
11. 隣接3項間漸化式 [会員]    

4. 階差数列

4.1 階差数列とは

 数列の差をとって得られる数列を,元の数列の階差数列という.

例1 $2,\ 3,\ 5,\ 8,\ 12$
 差をとると,$1,\ 2,\ 3,\ 4$
  → 階差数列は初項1,公差1の等差数列

例2 $2,\ 5,\ 11,\ 23,\ 47$
 差をとると,$3,\ 6,\ 12,\ 24$
  → 階差数列は初項3,公比2の等比数列

例3 $2,\ 10,\ 30,\ 68,\ 130,\ 222$
 差をとると,$8,\ 20,\ 38,\ 62,\ 92$
 もう一度差をとると,$12,\ 18,\ 24,\ 30$
  → 第2階差数列は初項12,公比6の等差数列

補足

 例3のように,複数回にわたって差をとるとき,差をとった順に「第1階差数列,第2階差数列,$\cdots$」という.

4.2 階差数列と一般項

 例として次の数列 $\{a_n\}$ を考えよう.

\[1,\ 2,\ 5,\ 10,\ 17,\ 26,\ \cdots\]

 この数列は差が一定でないから等差数列ではない.また隣りどうしの比も一定ではないから等比数列でもない.従ってこの数列の一般項を直ちに求めることは難しい.ところがこの数列の階差数列をとってみると,

\[1,\ 3,\ 5,\ 7,\ 9,\ \cdots\]

といった具合に初項1,公差2の等差数列となっており,大変なじみやすいものとなっている.この階差数列を $\{b_n\}$ とおくと,一般項は $b_n=2n-1$ であり,

\[\sum_{k=1}^nb_k=\sum_{k=1}^n (2k-1)=n^2\]

というように第 $n$ 項までの和も簡単に計算できる.実は階差数列の和が求まれば,得体の知れぬ元の数列の一般項も求めることができる.その考え方を次に示す.

 例えば $a_4=10$ を考えてみよう.

 $a_4-a_3=b_3$ である.

 同様にして,

\[\begin{align*} a_4-a_3&=b_3\\[5pt] a_3-a_2&=b_2\\[5pt] a_2-a_1&=b_1\\[5pt] \end{align*}\]

  これらを辺々加えると,左辺は途中で $a_3$ と $a_2$ がキャンセルされて

 よって $a_4=a_1+(b_1+b_2+b_3)$

 つまり $a_4$ は,$a_1$ に階差数列 $\{b_n\}$ の初項から第3項までの和として求めることができる.これは他の項についても同様である.よって第 $n$ 項の $a_n$ は,$b\geqq2$ のとき

\[a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k=1+(n-1)^2=n^2-2n+2\]

 これは $n=1$ のときも成り立つ.従って数列 $\{a_n\}$ の一般項を求めることができた.

 上の例のような考え方を用いると,一般の場合は次のようになる:

\[\begin{align*} a_n-a_{n-1}&=b_{n-1}\\[5pt] a_{n-1}-a_{n-2}&=b_{n-2}\\[5pt] a_{n-2}-a_{n-3}&=b_{n-3}\\[5pt] &\vdots\\[5pt] a_3-a_2&=b_2\\[5pt] a_2-a_1&=b_1\\[5pt] \end{align*}\]

 これらの式を辺々加えると,左辺の $a_{n-1},\ n_{n-2},\ \cdots,\ a_2$ が次々とキャンセルされて,左辺は $a_n$ と $a_1$ だけが残り,右辺は $b_1$ から $b_{n-1}$ までの $n-1$ 項の和となる:

\[\therefore\ a_n=a_1+(b_1+b_2+\cdots +b_{n-1})\]

 よって第 $n$ 項の $a_n$ は,$b\geqq2$ のとき

\[a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k\]

となる.

 数列$\{a_n\}$の初項を$a$,階差数列を$\{b_n\}$とすると,$n\geqq 2$ のとき,\[a_n=a+\sum_{k=1}^{n-1}b_k\]

補足

 一般項を求める式の前に「$n\geqq2$ のとき」という条件が付されているが,この点について説明しておく.

① $n=1$ のとき,$\displaystyle a_1=a+\sum_{k=1}^0 b_k$ となって,$\sum$ が意味をなさない.

② $a_1$ の場合が含まれてしまうことがほとんどであるが,もちろんそうでない場合もある.例えば, \[ 2,\ 2,\ 3,\ 4,\ 5,\ 6,\ \cdots\ \ \gets\ \{a_n\}\] という数列の階差数列は \[0,\ 1,\ 1,\ 1,\ 1,\ \cdots\ \ \gets\ \{b_n\}\] となるから,$n\geqq2$ のとき, \[\begin{align*} a_n&=2+\sum_{k=1}^{n-1}b_k\\[5pt] &=2+(n-2)\\[5pt] &=n \end{align*}\] となる.これは $n=1$ のときを正しく表していない.
 故に,$\underline{\boldsymbol{a_1=2,\ a_n=n\ (n\geqq2)}}$ となる.
 因みに数列$\{a_n\}$ は,場合分けせずに \[a_n=\left|n-\frac32\right|+\frac32\] と書くこともできる.

例題 $2,\ 5,\ 11,\ 23,\ 47,\ \cdots$ で表される数列の一般項を求めよ.

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