高校数学[総目次]
数学Ⅱ 第3章 図形と方程式
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1. 座標平面上の点 | [会員] | ||
2. 直線の方程式 | [会員] | ||
3. 円の方程式 | [会員] | [会員] | |
4. 円と直線 | [会員] | [会員] | |
5. 軌跡と方程式 | [会員] | [会員] | |
6. 不等式と領域 | [会員] |

4.1 円と直線の位置関係
円と直線の位置関係には2つのアプローチの方法がある
円と直線の位置関係には次の3通りがある.

これらを次の2通りによって特徴付けする.
[1] 判別式
[2] 中心と直線の距離
例題 円C :(x−3)2+(y−2)2=1 と,直線 l:x−2y+3=0 の共有点の個数を求めよ.
[1] 判別式からのアプローチ
l の式より,y=12x+32
C の式に代入して, (x−3)2+{(12x+32)−2}2=1
整理して 5x2−26x+33=0
この2次方程式の解がもし実数なら,それは円と直線の共有点の x 座標を表す.つまり
共有点の個数と実数解の個数は一致する.
この2次方程式を実際に解けばどのような解をもつかはもちろんわかるが,実数解の個数を調べるだけならそこまでしなくとも判別式で十分である.判別式を D とすると
D/4=(−13)2−5×33=169−165=4>0
よって,円と直線は異なる2点で交わる.
一般に,
円 :(x−a)2+(y−b)2=r2
直線:y=mx+n
の2式から y を消去して得られる x の2次方程式が実数解をもてば,それは円と直線の共有点の x 座標を表すから,次が成り立つ:
円と直線の位置関係[1] 円 (x−a)2+(y−b)2=r2 と直線 y=mx+n から y を消去して得られる2次方程式の判別式をDとすると,D>0⟺異なる2点で交わるD=0⟺接するD<0⟺共有点をもたない
[2] 中心と直線の距離からのアプローチ
円の中心 (3,2) と直線 x−2y+3=0 の距離は,
|3−2×2+3|√12+(−2)2=2√5(=0.89⋯)
この値は円の半径である1より小さい.
よって,円と直線は異なる2点で交わる.
一般に,円の半径を r,中心と直線の距離を d とする.r と d の大小関係により次が成り立つ:

円と直線の位置関係[2] 半径 r の円の中心と直線の距離を d とすると,d<r⟺異なる2点で交わるd=r⟺接するd>r⟺共有点をもたない
補足
この例からわかるように,円と直線の位置関係の問題では,「中心と直線の距離からのアプローチ」の方が,一般には計算が平易.

4.2 円の接線の方程式
円周上の点における接線の方程式は実に簡単に書ける
Q. 円 x2+y2=r2 上の点P(x1, y1) における接線 l の方程式は?
[1] Pが両軸上にないとき (x1≠0 かつ y1≠0)

l の傾きを m とすると,OP⊥ l により, y1x1×m=−1 ∴m=−x1y1 よって l の方程式は,
y−y1=−x1y1(x−x1)
右辺の分母を払って整理すると
x1x+y1y=x12+y12
Pは円周上の点であるから x12+y12=r2.よって
x1x+y1y=r2
[2] Pが軸上にあるとき (x1=0 または y1=0)

例えば,x1=0 のとき,接点の座標は (0,±r) で,接線 l の方程式は y=±r となるが,これは 0⋅x±r⋅y=r2 と表すことができるので,この場合も[1]に含めることができる.
y1=0 のときも同様に[1]の式でよい.
以上をまとめると,円上の点Pにおける接線の方程式は,Pがその円のどこにあろうと次で書ける:
まとめ 円 x2+y2=r2 上の点P(x1, y1) における接線 l の方程式は,x1x+y1y=r2
この結果を見ると,円周上の点 (x1, y1) における接線の方程式は,円の方程式 x2+y2=r2 の左辺を x⋅x+y⋅y=r2 と書き換えたうえで,x と y のそれぞれ片側に添え字の1を書き入れるだけで出来上がる.

発展的補足
円の中心が原点でない場合も接点が円周上なら接線の導き方はほぼ同じ
円の中心が原点でないときは,次のように全体を平行移動することで,中心が原点の場合に帰着される:

① 円の中心(a,b) が原点にくるように全体を平行移動.
円C:(x−a)2+(y−b)2=r2→ 円C′:x2+y2=r2
点P:(x1,y1)→ 点P′(x1−a,y1−b)
② 円C′ 上の点P′ における接線 l′ の方程式は (x1−a)x+(y1−b)y=r2
③ 円C′ の中心が元の位置に戻るように,全体を平行移動.
接線 l の方程式は
(x1−a)(x−a)+(y1−b)(y−b)=r2
円 (x−a)2+(y−b)2=r2 上の点(x1, y1) における接線の方程式は,(x1−a)(x−a)+(y1−b)(y−b)=r2

例題1 円 x2+y2=10 上の点 (3,−1) における接線の方程式を求めよ.
解答例を表示する
例題2 円 x2+y2=10 の接線で,点 (2,4) を通るものを求めよ.
解法1
方針
円上の点 (x1,y1) での接線の方程式を作る.
→ これが点 (2,4) を通る.
(x12+y12=10 であることも忘れずに!)
解法2
方針
点 (2,4) を通る傾き m の直線を考える.
→ (中心と直線の距離) = (半径)
補足
中心と直線の距離からのアプローチでは接点の x 座標を経由しない
一般に円の接線は,解法2のように
(中心と直線の距離) = (半径)
から求めるのが最も簡単になりやすいが,解法1ではその過程で接点の座標がオマケとして得られる.従って「接点の座標も求めよ」と問われた際には解法1が適する.解法2で接点の座標を求めるなら,次の発展的補足にある「極線」と接線を連立することで計算の負担を軽減するという手がないわけではない.
発展的補足
「極」線と呼ばれる直線について

円 x2+y2=10 の外側にある点 (2,4) を用いて,円上の点における接線の方程式と同様の手順で作った
直線 2x+4y=10
(すなわち直線 x+2y=5)
は,点 (2,4) から円 x2+y2=10 に引いた接線の2つの接点(図の点 (x1,y1),(x2,y2) )を通る直線(極線)を表す.
証明
点 (2,4) から円x2+y2=10 に引いた2本の接線の接点の座標をそれぞれ (x1,y1),(x2,y2) とする.
点 (x1,y1) における接線の方程式は,x1x+y1y=10 で,これが点 (2,4) を通るとき,
2x1+4y1=10 ⋯ ①
同様に,点 (x2,y2) での接線が点 (2,4) を通るとき,
2x2+4y2=10 ⋯ ②
①,②は2点 (x1,y1),(x2,y2) が直線 2x+4y=10 上にあることを意味する.従って,2つの接点を通る直線の方程式は 2x+4y=10 である.
■

4.3 2円の交点を通る図形
2円の交点を通る図形の求め方には独特の上手いやり方がある
2つの円 C1:x2+y2−5=0,C2:x2+y2−6x−2y+5=0 を考えよう.この2つの式を同時に成り立たせる実数の組は2つあり,それは (1, 2) と (2, −1) である(下の例題(2)参照).実際,(x, y)=(1, 2) のとき
{12+22=512+22−6⋅1−2⋅1+5=0
また,(x, y)=(2, −1) のときも
{22+(−1)2=522+(−1)2−6⋅2−2⋅(−1)+5=0
よって,これら (x, y) の組は上の2つの式を同時に成り立たせることがわかった.
ここでやや唐突だが,k を1つの定数として次の式を考えてみよう.
k(x2+y2−5)+x2+y2−6x−2y+5=0 ⋯①
この式が何を表すかはさておき,とにかくこの式は (x, y) が (1, 2) の場合や (2, −1) の場合は k の値によらず成り立つことに注意しておこう.何故ならすぐ上で確認したように,カッコ内と,k がかかっていない部分が共に0になるからだ.つまり
方程式①が表す図形は,2円 C1, C2 の共有点を通る
のである.この式を整理すると
①⟺(k+1)x2+(k+1)y2−6x−2y−5k+5=0
となるから,①は
- k≠−1 のとき,円を表す.
- k=−1 のとき,①は−6x−2y+10=0 となるから直線を表す.
k=−1 のときにできる直線を,この2円の根軸という.
一般に次が成り立つ:
2円の交点を通る図形円C1:x2+y2+l1x+m1y+n1=0,円C2:x2+y2+l2x+m2y+n2=0が共有点をもつとき,k(x2+y2+l1x+m1y+n1)+x2+y2+l2x+m2y+n2=0はk≠−1のとき,2円の共有点を通る円k=−1のとき,2円の共有点を通る直線を表す.

例題 円 C1:x2+y2=5,C2:x2+y2−6x−2y+5=0 について.
(1) 2円 C1,C2 の交点を通る直線の方程式を求めよ.
(2) 2円 C1,C2 の交点の座標を求めよ.
(3) 2円 C1,C2 の交点,及び点 (2,0) を通る円の方程式を求めよ.
答
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