公務員試験のための数学ワークブック
公務員試験の一般知能分野、教員採用試験等の一般教養分野の数学に限定して説明しています。より本格的に復習されたい方は、本編の 高校数学 をご覧ください。

分数の計算
1. まずは分数のいろはから
さて,分数について基本的な事項について確認しておきましょう.
分数は,分子と分母に同じ数を掛けたり割ったりしても値は変わりませんが, 足したり引いたりすると一般には値が変わってしまいます.
例
25=410=12.525≠2+15+1=36=1225≠2−15−1=14
また,分数は割り算を表現しているともいえます.
例
7÷2=724÷12=412=26=13
2つ目の例で,412 から 26 や13 のように分数を簡単にすることを約分(やくぶん)するといい,最も簡単にした分数を既約分数(きやくぶんすう)といいます.72 や 13 は既約分数です.
演習問題1 xを自然数とする.18x が自然数となるxは何通りあるか求めなさい.

2. 分数の四則計算
次に,分数の四則演算について復習しましょう.
2.1 足し算・引き算
分数の足し算・引き算では,分母の数が重要です.分母の数が異なるときには,分母の数を同じにしてやる作業(通分)(つうぶん)をやらなくてはなりません.
例
27+37=2+37=5727−37=2−37=−1714+56≠1+54+6=610=3514+56=1×34×3+5×26×2=312+1012=3+1012=1312
2.2 掛け算・割り算
分数の掛け算・割り算では,分子どうし,分母どうしをそのまま掛けたり割ったりすることが可能です.ただし,割り算の場合は分母子を逆転させて,掛け算の形にしてから計算するとよいでしょう.
例
23×45=2×43×5=81523÷45=23×54=2×53×4=56
演習問題2 次の計算をしなさい.
(1) 23÷15 (2) 23÷5

3. 何だこれ,どういう意味?~繁分数
続いて,分数の分数である「繁分数」についてみていきましょう.次のように,分子あるいは分母が分数になっている分数を繁分数(はんぶんすう)といいます.
例
2 3523 5 12 35
これは,ab=a÷b であることに注意すると,それぞれ
2 35=2÷35=2×53=10323 5 =23÷5=23×15=215 12 35=12÷35=12×53=1×52×3=56
となります.
演習問題3 次の計算をしなさい.
(1) 52154 (2) 21+13

4. 意外にも結構顔を出す~帯分数
帯分数は小学校のときに学習しますが,中学校に入ると仮分数の表現をとるため,すっかりなじみが薄くなっています.ところが,一般知能では不思議にもこの帯分数が頻繁に登場します.例えば時計算では「3時8511分」といったような日常では使わない表現をします.
分数において,分子の数が分母の数以上の分数を仮分数(かぶんすう)といいます.
仮分数の例
736211
このような分数は,変形して分子の数が分母の数より小さくしてやることができます.それには次のようにします.
73について.まず,分子を分母で割って
7÷3=2 余り 1∴ 7=3×2+1
故に,
73=3×2+13=3×23+13=2+13
6211について.
62÷11=5 余り 7∴ 62=11×5+7
故に,
6211=11×5+711=11×511+711=5+711
計算の結果の「+」を省略するとそれぞれ
2135711
となります.このよう表現された分数を帯分数(たいぶんすう)といいます.
数学では,2×13を2⋅13などのように表現することがあり,帯分数との区別がつきにくく紛らわしいので,中学以降はほとんど使われません.
帯分数:213=2+13=73
掛け算:2⋅13=2×13=23
一般知能では,213 と書いてあればほとんどの場合帯分数と思ってよいでしょう.
演習問題4 次の指示に従って書き換えなさい.
(1) 7513 (帯分数に) (2) 4211 (仮分数に)

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