高校数学[総目次]
数学Ⅰ 第1章 2次関数
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1. 2次関数のグラフ | [無料] | [会員] | |
2. 関数のグラフの移動 | [会員] | [会員] | |
3. 2次関数の最大・最小 | [会員] | [会員] | |
4. 2次関数の決定 | [会員] | [会員] | |
5. 2次関数のグラフと方程式 | [会員] | [会員] | |
6. 2次不等式とグラフ | [会員] | [会員] | |
7. 2次方程式の解の配置 | [会員] | [会員] |

演習問題
問題1【基本】
次の2次関数のグラフは x 軸と共有点をもつか.もつ場合はその座標を求めよ.
(1) y=x2−4x+3
(2) y=−x2+4x−4
(3) y=x2−4x+5
問題2【基本】
放物線 y=x2−4x−k と x 軸との共有点の個数を求めよ.
問題3【基本】
放物線 y=x2+2(k+1)x+1 が x 軸に接するように定数 k の値を定めよ.
問題4【標準】
放物線 y=x2−(k+1)x+k が x 軸から切り取る線分の長さが5となるとき,定数 k の値を求めよ.
問題5【標準】
放物線 y=x2−3x+4 と直線 y=x+1 は共有点をもつか.もつときはその座標も求めよ.
問題6【標準】
放物線 y=x2−3x と直線 y=x+k の共有点の個数を求めよ.
問題7【発展】
次の2つの放物線は共有点をもつか.もつときはその座標を求めよ.y=x2−x, y=−x2+7x−6

2次関数のグラフが x 軸と共有点をもつかどうかを調べるにはどうしたらよいでしょうか?グラフを実際にかいてみるのも1つの手でしょう.しかし簡単な2次関数ならその方法でもよいかもしれませんが,係数に分数や無理数や文字式があると平方完成にも作図にも時間がかかり,結構大変な思いをさせられそうです.他に良い方法はないのでしょうか?
実は2次関数のグラフが x 軸と共有点をもつかどうかという問題は,「2次方程式」の理論に持ち込んで考えるとぐっとやさしくなるのです.
「2次関数」から「2次方程式」へ
この乗り入れの良さを是非理解しておきたいところです.
x 軸というのは y 座標が0である点の集まりです.そこで,2次関数 y=ax2+bx+c の y を0とおくと
ax2+bx+c=0
という2次方程式が得られます.この方程式を解くと何が得られるでしょうか?それは
2次関数のグラフとx軸との共有点のx座標
です.
従って例えばこの方程式が異なる2つの実数解を持てば,それは x 軸と交わる点が2つあるということに意味します.
また,実数解が1個(重解)ならば,x 軸との共有点は1個ということになり,その場合2次関数のグラフと x 軸は接するといいます.
そして実数解が0個ならば,x 軸とは共有点をもたないということになります.
最後の「実数解が0個のとき,x 軸とは共有点をもたない」という点について少し補足しておきましょう.
これはどうしてかといいますと,今扱っている座標平面というのは,2つの実数の組 (x, y) を表すためのものだからです.2次方程式の解が実数でなければ,それを表す場所はこの平面上のどこにもなく,従って x 軸と共有する点も見出すことはできないのです.
更に少しさかのぼってみますと,座標平面の前に数直線というものを学びますが,この「数」とは「実数」の意味であって,故に「実数直線」と呼んだ方がより正確な表現といえます.すべての実数はこの直線上のどこかに対応しています.この(実)数直線を横と縦に2本クロスさせて平面的な広がりをもたせたものが座標平面なのです.
数学Ⅱにおいて複素数 というものを学びます.複素数を導入することで,あらゆる2次方程式に解をもたせることができるようになります.この複素数を表す平面は,数学Cで登場する複素(数)平面 と呼ばれています.
2次方程式が実数解をもつかどうかは判別式 D が便利でした.
2次方程式 ax2+bx+c=0 は,D=b2−4ac とすると
異なる2つの実数解をもつ⟺D>0
1つの実数解(重解)をもつ⟺D=0
実数解をもたない ⟺D<0
となります.また1次の係数が 2b′ という形で表されているときには,D の代わりに次の D/4 を使うことで,つまらない計算エラーを防ぐことができます.
2次方程式 ax2+2b′x+c=0 は,D/4=b′2−ac とすると
異なる2つの実数解をもつ⟺D/4>0
1つの実数解(重解)をもつ⟺D/4=0
実数解をもたない ⟺D/4<0
解答
与式の y を0とおいた2次方程式の判別式をDとします.
(1) D/4=(−2)2−1⋅3=1>0 従って2次関数のグラフは x 軸と2つの共有点をもつ.また共有点の座標は x2−4x+3=0 を解くと
(x−1)(x−3)=0∴x=1,3
よって共有点の座標は (1,0), (3,0)
(2) D/4=22−1⋅(−4)=0 従って2次関数のグラフは x 軸と1つの共有点をもつ.また共有点の座標は −x2+4x−4=0 を解くと
x2−4x+4=0(x−2)2=0∴x=2
よって共有点の座標は (2,0)
(3) D/4=(−2)2−1⋅5=−1<0 従って2次関数のグラフは x 軸と共有点をもたない.
共有点の個数は判別式の符号で判定します.ここでも D ではなく D/4 を使って計算ミスを防ぎます.
解答
与式の y を0とおいた2次方程式 x2−4x−k=0 の判別式を D とするとD/4=(−2)2−1⋅(−k)=4+k よって共有点の個数は
D>0 すなわち k>−4 のとき 2個
D=0 すなわち k=−4 のとき 1個
D<0 すなわち k<−4 のとき 0個
2次関数のグラフが x 軸に接するということは,2次方程式の理論に持ち込むと,方程式が重解を持つということでした.これは判別式が0であるということと同値です.
解答
与式の y を0とおいた2次方程式の判別式を D とするとD/4=(k+1)2−1⋅4=k2+2k−3 2次関数のグラフが x 軸に接するとき,D=0(従ってその 14 倍である D/4 も0) となりますから