高校数学[総目次]
数学Ⅲ 第2章 微分法
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11. 関数のグラフ | [会員] |
11.関数のグラフ
11.1 曲線の凹凸
微分可能な関数のグラフを考える.
ある区間で,
接線の傾きが増加 $\to$ 下に凸という.
接線の傾きが減少 $\to$ 上に凸という.
例えばある区間で常に $f^{\prime\prime}(x) > 0$ ならば,$f'(x)$ は単調に増加するから,$f(x)$ の接線の傾きも増加していく.即ち,その区間でグラフは下に凸である.ある区間で常に $f^{\prime\prime}(x) < 0$ となる場合も同様.
まとめ 関数 $f(x)$ が $f^{\prime\prime}(x)$ をもつとき,
常に $f^{\prime\prime}(x)\!>\!0$ である区間でグラフは下に凸である.
常に $f^{\prime\prime}(x)<\!0$ である区間でグラフは上に凸である.
11.2 変曲点
曲線の凹凸の境目を変曲点という.
$x=a$ を含むある区間において,$x=a$ で上に凸から下に凸に変わるとする.
その区間内の $x<a$ で $f^{\prime\prime}(x) < 0$,$x > a$ で $f^{\prime\prime}(x) > 0$ だから,$f^{\prime\prime}(x)$ が連続ならば $f^{\prime\prime}(a)=0$
$x=a$ で下に凸から上に凸に変わる場合も,同様の理由で $f^{\prime\prime}(a)=0$ となる.
定理 関数 $f(x)$ の第2次導関数 $f^{\prime\prime}(x)$ が連続のとき, \[ \mbox{点}(a,\ f(a))\mbox{が変曲点}\ \ \Longrightarrow \ f^{\prime\prime}(a)=0 \]
注意
逆 $(\Leftarrow)$ はいえない.
(反例)
$f(x)=x^4$ について,$f'(x)=4x^3$,$f^{\prime\prime}(x)=12x^2$ であるから,$f^{\prime\prime}(0)=0$.しかし,点$(0,f(0))$ は変曲点ではない.
11.3 漸近線の求め方
関数 $y=f(x)$ のグラフにおいて,
[1] $\displaystyle\lim_{x\to\infty}f(x)=a$,または$\displaystyle\lim_{x\to-\infty}f(x)=a$
$\to$ 直線 $y=a$ は漸近線.
[2] $\displaystyle\lim_{x\to a+0}f(x)=\infty$,又は$\displaystyle\lim_{x\to a+0}f(x)=-\infty$
又は$\displaystyle\lim_{x\to a-0}f(x)=\infty$,又は$\displaystyle\lim_{x\to a-0}f(x)=-\infty$
$\to$ 直線 $x=a$ は漸近線.
[3] $\displaystyle\lim_{x\to\infty}\{f(x)-(ax+b)\}=0$,又は$\displaystyle\lim_{x\to-\infty}\{f(x)-(ax+b)\}=0$
$\to$ 直線 $y=ax+b$ は漸近線.
補足
[3]について,$y=ax+b$ の $a$ と $b$ はどのようにしてわかるか?
もし,$f(x)$ のグラフが $x\to\infty$ で直線 $y=ax+b$ に漸近するならば,次が成り立つ:
\[ a=\lim_{x\to\infty}\frac{f(x)}x,\ \ \ \ b=\lim_{x\to\infty}\{f(x)-ax\} \]
証明
$\displaystyle\lim_{x\to\infty}\{f(x)-(ax+b)\}=0\ \cdots$① のとき, \[\lim_{x\to\infty}\frac{f(x)-(ax+b)}x=0\] \[\therefore\lim_{x\to\infty}\left\{\frac{f(x)}x-a-\frac bx\right\}=0\] \[\therefore \lim_{x\to\infty}\left\{\frac{f(x)}x-a\right\}=0\ \ (\because \frac bx\to0(x\to\infty))\] \[\therefore a=\lim_{x\to\infty}\frac{f(x)}x\] このようにして $a$ が求まれば,①により, \[\lim_{x\to\infty}\{f(x)-ax\}-b=0\] \[\therefore b=\lim_{x\to\infty}\{f(x)-ax\}\]
■
補足
$x\to-\infty$ のとき直線 $y=ax+b$ に漸近する場合も同様にして $a$ と $b$ を求めることができる.
注意
$\displaystyle{a=\lim_{x\to\infty}\frac{f(x)}x}$ となる $a$ が存在しても,漸近線が存在するとは限らない.例えば $f(x)=x+\sqrt x$ のとき
\[\frac{f(x)}x=1+\frac1{\sqrt x}\to1\ \ (x\to\infty)\]
となるから $a=1$.然るに
\[\lim_{x\to\infty}\{f(x)-x\}=\lim_{x\to\infty}\sqrt x=\infty\]
となるから,$\displaystyle b=\lim_{x\to\infty}\{f(x)-ax\}$ は有限確定値とならない.別の例として $f(x)=\sin x$ とすれば,はさみうちの原理により $\dfrac {\sin x}x\to 0\ (x\to\infty)$ だが,サインカーブに漸近線はない.
要するに $x\to\infty$ の場合では
曲線 $y=f(x)$ が直線 $y=ax+b$ を漸近線にもつ
$\iff \displaystyle\lim_{x\to\infty}\{f(x)-(ax+b)\}=0$
$\iff \displaystyle\lim_{x\to\infty}\{f(x)-ax\}=b$
$\Longrightarrow \displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{f(x)}x=a$
※最後は矢印が右向きだけであることに注意
なのであって,$\displaystyle\lim_{x\to\infty}\{f(x)-ax\}=b$ (有限確定値) が成り立って初めて直線 $y=ax+b$ が漸近線であるといえる訳である.
例題 $f(x)=\dfrac{x^2}{x-1}$ の漸近線を求めよ.
答
解答例を表示する11.4 第2次導関数と極値
$x=a$ を含むある区間で,$f^{\prime\prime}(x)$ が連続のとき,
[1] $f^\prime(a)=0$ かつ $f^{\prime\prime}(a)<0$ ならば,$f(a)$ は極大値
[2] $f^\prime(a)=0$ かつ $f^{\prime\prime}(a)>0$ ならば,$f(a)$ は極小値
証明
[1]の証明
$f^{\prime\prime}(x)$ は連続だから,$f^{\prime\prime}(a) < 0$ ならば,$x=a$ の十分近くでは常に $f^{\prime\prime}(x) < 0$ となる.
$f'(x)$ の導関数 $f^{\prime\prime}(x)$ が常に$f^{\prime\prime}(x) < 0$ となるから,$x=a$ の十分近くで $f'(x)$ は単調に減少する.$f'(a)=0$ だから,$f'(x)$ の符号は,$x=a$ の前後で正から負に転じる.即ち,$f(a)$ は極大値である.
([2]も同様に証明される.)
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