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高校数学[総目次]

数学Ⅲ 第2章 微分法

  スライド ノート 問題
1. 微分係数と導関数 [無料]    
2. 合成関数の導関数 [無料]    
3. 逆関数の微分法 [無料]   [会員] 
4. 三角関数の導関数 [会員]    
5. 対数関数・指数関数の導関数 [会員]    
6. 媒介変数表示と導関数 [会員]    
7. 陰関数の導関数 [会員]    
8. 平均値の定理 [会員]    
9. 関数の値の変化 [会員]    
10. 関数の極大・極小 [会員]    
11. 関数のグラフ [会員]    

1.微分係数と導関数

1.1 微分係数

 $a$ を固定し,$x\to a$ としたとき,平均変化率 $\dfrac{f(x)-f(a)}{x-a}\cdots$① が極限値をもつとき,$f(x)$ は $x=a$ で微分可能であるという.また,①を $f'(a)$ で表す:

\[ f'(a)=\lim_{x\to a}\frac{f(x)-f(a)}{x-a}\]

補足

上の $x$ の代わりに $a+h$ とすれば, \[\frac{f(x)-f(a)}{x–a}=\frac{f(a+h)-f(a)}h\] と書くことができる.(分母が $h$ だけの方が,約分に気付きやすいことがある.)

\[ f'(a)=\lim_{h\to 0}\frac{f(a+h)-f(a)}h \]

例題 $f(x)=x^3$ のとき,$f'(1)$ を求めよ.

その1 \[\begin{align*} f'(1)&=\lim_{x\to 1}\frac{x^3-1}{x-1}\\[5pt] &=\lim_{x\to 1}\frac{(x-1)(x^2+x+1)}{x-1}\\[5pt] &=\lim_{x\to1}(x^2+x+1)\\[5pt] &=3 \end{align*}\]

その2 \[\begin{align*} f'(1)&=\lim_{h\to 0}\frac{(1+h)^3-1^3}h\\[5pt] &=\lim_{h\to 0}\frac{h(3+3h+h^2)}h\\[5pt] &=\lim_{h\to 0}(3+3h+h^2)\\[5pt] &=3 \end{align*}\]

定理 \[f(x)\mbox{が}x=a\mbox{で微分可能}\Rightarrow f(x)\mbox{は}x=a\mbox{で連続}\]

証明

\[\begin{align*} \lim_{x\to a}\{f(x)-f(a)\}&=\lim_{x\to a}\frac{f(x)-f(a)}{x-a}\cdot(x-a)\\[5pt] &=f'(a)\cdot0\\[5pt] &=0 \end{align*}\]

注意

 逆 $(\Leftarrow)$ は成り立たない.反例として,$f(x)=|x|$ は $x=0$ で連続だが,$x=0$ で微分可能ではない.

1.2 導関数

 関数 $y=f(x)$ がある区間内の任意の $x$ で微分可能であるとき, \[\lim_{h\to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}h\] を $f(x)$ の導関数といい, \[f'(x),\ y’\ ,\frac{dy}{dx},\ \frac d{dx}f(x)\] などで表す.また,$f(x)$ の導関数を求めることを「 $f(x)$ を微分する」という.

1.3 導関数の性質

導関数の性質 \begin{align*}&[1]\ \ \{kf(x)\}’=kf'(x)\ \ (k\mbox{は定数})\\\\ &[2]\ \ \{f(x)+g(x)\}’=f'(x)+g'(x)\end{align*}

証明

[1] \[\begin{align*} \{kf(x)\}’&=\lim_{h\to0}\frac{kf(x+h)-kf(x)}h\\[5pt] &=\lim_{h\to0}k\cdot\frac{f(x+h)-f(x)}h\\[5pt] &=kf'(x) \end{align*}\]

[2] \[\begin{align*} \{f(x)+g(x)\}’&=\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)+g(x+h)-\{f(x)+g(x)\}}h\\[5pt] &=\lim_{h\to0}\left\{\frac{f(x+h)-f(x)}h+\frac{g(x+h)-g(x)}h\right\}\\[5pt] &=f'(x)+g'(x) \end{align*}\]

1.4 積の導関数

積の導関数\[ \{f(x)g(x)\}’=f'(x)g(x)+f(x)g'(x) \]

証明

 $F(x)=f(x)g(x)$ とおいて,$F'(x)=\displaystyle{\lim_{h\to0}}\dfrac{F(x+h)-F(x)}h$ を計算する. \[\begin{align*} &F(x+h)-F(x)\\[5pt] =&f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)\\[5pt] =&\{f(x+h)-f(x)\}g(x+h)+f(x)\{g(x+h)-g(x)\} \end{align*}\] であるから, \[\begin{align*} &\frac{F(x+h)-F(x)}h\\[5pt] =&\frac{f(x+h)-f(x)}hg(x+h)+f(x)\frac{g(x+h)-g(x)}h\\[5pt] \to &\ f'(x)g(x)+f(x)g'(x)\ \ (h\to0) \end{align*}\]

注意

 $\{f(x)g(x)\}’=f'(x)g'(x)$ ではない

例題 関数 $y=(x^2+1)(x^2-3x+2)$ を微分せよ.

\[\begin{align*} y’&=(x^2+1)'(x^2-3x+2)+(x^2-1)(x^2-3x+2)’\\[5pt] &=2x(x^2-3x+2)+(x^2+1)(2x-3)\\[5pt] &=\underline{\boldsymbol {4x^3-9x^2+6x-3}} \end{align*}\]

公式  $n$ が自然数のとき, \[(x^n)’=nx^{n-1} \]

証明

 $(x^n)’=nx^{n-1}\cdots$①を帰納法で示す.
 $n=1$ のとき,①の両辺は共に1となり成立.
 $n=k$ のとき,①の成立を仮定すると,$n=k+1$ のとき, \[\begin{align*} \mbox{①の左辺}&=(x^{k+1})’\\[5pt] &=(x^k\times x)’\\[5pt] &=(x^k)’\cdot x+x^k\cdot(x)’\ \leftarrow\mbox{積の導関数}\\[5pt] &=\underline{kx^{k-1}}\cdot x+x^k\cdot1\ \leftarrow\mbox{帰納法の仮定}\\[5pt] &=(k+1)x^k\\[5pt] &=\mbox{①の右辺} \end{align*}\] となるからこのときも成立.
 以上により,任意の自然数 $n$ で①は成立.

1.5 商の導関数

商の導関数(1) \[ \left\{\frac 1{g(x)}\right\}’=-\frac{g'(x)}{\{g(x)\}^2}\]

証明

 $F(x)=\dfrac1{g(x)}$ とおいて,$F'(x)$ を考える. \[\begin{align*} F(x+h)-F(x)&=\frac1{g(x+h)}-\frac1{g(x)}\\[5pt] &=-\frac{g(x+h)-g(x)}{g(x+h)g(x)} \end{align*}\] であるから, \[\begin{align*} \frac{F(x+h)-F(x)}h&=-\frac{g(x+h)-g(x)}h\cdot\frac1{g(x+h)g(x)}\\[5pt] &\to -g'(x)\cdot\frac1{\{g(x)\}^2}\ \ (h\to0) \end{align*}\]

 この結果を用いて次が示される:

商の導関数(2)\[ \left\{\frac{f(x)}{g(x)}\right\}’=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^2}\]

証明

 $\dfrac{f(x)}{g(x)}=f(x)\cdot\dfrac1{g(x)}$ として積の導関数の公式を用いると, \[\begin{align*} \left(\frac fg\right)’&=f’\cdot\frac1g+f\cdot\left(\frac1g\right)’\ \leftarrow\mbox{積の導関数}\\[5pt] &=\frac{f’}g-\frac{fg’}{g^2}\\[5pt] &=\frac{f’g-fg’}{g^2} \end{align*}\]

例1 $\left(\dfrac1{x^2+3x}\right)’=-\dfrac{(x^2+3x)’}{(x^2+3x)^2}=\underline{-\dfrac{2x+3}{(x^2+3x)^2}}$
例2 $\left(\dfrac x{x^2+1}\right)’=\dfrac{(x)'(x^2+1)-x(x^2+1)’}{(x^2+1)^2}=\underline{\dfrac{-x^2+1}{(x^2+1)^2}}$

公式  $n$ が整数のとき, \[(x^n)’=nx^{n-1}\]

証明

 $n$ が自然数のときは証明済み.
 よって整数 $n$ が $n\leqq0$ のとき,$(x^n)’=nx^{n-1}\cdots$ ① が成り立つことを示す.
 $n=0$ のとき,①の両辺は共に0だから成立.
 $n < 0$ のとき,$n=-m$ とおくと,$m > 0$ だから, \[\begin{align*} (x^n)’&=(x^{-m})’\\[5pt] &=\left(\frac1{x^m}\right)’\\[5pt] &=-\frac{(x^m)’}{(x^m)^2}\ \leftarrow\mbox{商の導関数}\\[5pt] &=-\frac{mx^{m-1}}{x^{2m}}\\[5pt] &=-mx^{-m-1}\\[5pt] &=nx^{n-1} \end{align*}\]  以上により,$n\leqq0$ のときも①は成立.

\[\left(\frac1{x^2}\right)’=\left(x^{-2}\right)’=-2x^{-3}=-\frac2{x^3}\]

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